三井長編 続編・番外編
□suite 01
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そして夕方に紫帆は三井と合流した。
「また女子会とかいって、食べ過ぎてんだろ?」とニヤリとする三井の顔を見て、紫帆はびっくりするほど安堵した。ホッとするような心安らぐ思いが胸を浸し、そんな自分が不思議なくらい。
運転する三井の肩にそっと頭を寄せると、どうした?と問われる。
「しゃべりすぎて疲れた」
「ったく女は……何をそんなにしゃべることあんだよ?」
「んー、いろいろ?」
「何だよ? オレには内緒か?」
一瞬、肩に触れる紫帆の頭がピクリとふるえたように感じたのは気のせいだろうか。「きっと聞いてもつまんないよ」と紫帆がクスッと笑いながら言った。
突然のあの話は、かつての記憶を呼び覚ましはしたが、そればかり考えてしまうほど心の中に大きな波紋を投げかけたわけではない。
今、自分が想う人は三井。
何も気にする必要はなかった。
そのまま軽く寄り添う彼女が微動だにしないので、こいつ寝てんじゃねえか? と交差点で停まったときにチラッと見やると、紫帆はジッと前方を見つめていた。
普段パンツスタイルの多い紫帆だが、今日は珍しくスカートだ。女友達と会うときの方がオシャレに気を遣うらしい。
たまには新鮮だな、なんて思いつつ、手を伸ばしたい衝動と葛藤していると、「ねえ」と声かけられる。
「ねえってば」
「あ?」
「青だよ」