続・5年後
□Imprevu 5
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「こじつけなくちゃならねえ嘘には、真実で対抗すっかな」
藤真の目が特異な光を放つ。
「それに先手必勝だろ?」
「はあ」
「玲と仙道のこと、流してくれねえ。オレが許す」
スキャンダルは勘弁してくれと言っていた藤真からの提案。
考えてみれば、騒ぎは一過性のものだろう。さっさとふたりのことを既成事実にしてしまえば、あとは楽なものだ。
従兄の欲目を差し引いても、仙道には玲以外考えられない。同じく、玲には仙道以外ありえない。ならば、問題ない。
「いいんですか?」
「遅かれ早かれのことだから、たいした差はねえよ。いっそのこと思い切っていこーぜ」
藤真は携帯をとりだし、なにやら探し始めた。
「これどうよ? 後ろに写り込んでるふたりをさ。オレを消すのなんか簡単だろ?」
彦一に画像を見せた。
「後ろのふたりを消して、藤真さんと隠し子ってネタでもいけますやろ」
「アホ、この子は俺の姪っ子だ……ちげぇな。従姉の子ってなんつーんだ?」
あとは放っておいても、マスコミが勝手にいろいろ出してくるだろう。高校からさかのぼってくれればなお良い。
藤真のところにも来るだろうが、素直に肯定すればいいだけだ。少々の歪曲には目をつぶろう。
やっかいごとも出てくるだろうが、心を決めてしまえば、意外にスッキリしたものだった。さて、広報のマネージャーには言っておくかなと藤真はゆっくりと立ち上がった。
玲のほうはどうするか。あいつはフリーランサーだから自分のことは自分でやれ、だ。そもそも巻き添えを食った玲が悪い。
放っておいたら他と騒がれるとこだったんだから、むしろ感謝して欲しいよなと藤真はふうーと息を吐いてから、その形のよい唇をキュッと結んだ。