続・5年後

□Epice 2
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何度体を重ねても、抱かれて朝を迎えようとも、いつまでたってもこの瞬間にドキドキさせられるのはなぜだろう。またそんな自分をお見通しであるかのような仙道のあの目。
その余裕が垣間見えるのが憎たらしい。そして自分は少なからず、藤真の話に煽られている。

「だから『はい』って…」と言って、玲は体を起こし仙道の上にまたがった。
見下ろすと、こちらを見上げる二対の瞳がニッコリと真っ直ぐ注がれるのがわかる。玲は羽織っていたものを肩からスルリと落した。そしてゆっくりと上体を倒し、仙道の頭をなでるように手を添えて口づけた。


それは親密で濃厚で悩ましげなキス。最後にペロッと仙道の鼻の頭を舐めた。
また起き上がり、キャミソールの裾に手をかけ脱ぎ捨てると、リビングからの明かりが逆光となり、その美しいシルエットが浮かび上がる。それに引き寄せられるように、仙道は体を起こした。

甘い香りの肌に吸い付けば、優しく首に手を回される。「私も彰としたい……」と耳に愛撫を囁かれた。
自分の描いたプランはどこかへいってしまったけれど、こっちもすげえいい、と言わんばかりに仙道は頬に笑みを漂わせた。


わざと中心をはずし、ずらしながら唇を滑らせ、玲は仙道の本能によびかける。時間をかけて、その存在を確かめるように。
いつもとは違う誘惑的な彼女と、憂いのこもったその視線に、おしとどめようのない想いがあふれてくる。何も判断しなくても、自然と体が一体となることを求めて抑えがきかない。

浅い侵入にとどめて探っていたが、やがて深く交わった。仙道の高ぶりは、熱くてそれでいて緩やかに── 玲に伝わり、その瞬間、玲の心が震える。

肩に縋るとその肌の匂いに、そして時折耳に届く仙道の低く掠れた声や、詰めていた息をはく息遣いに、自分の感覚すべてが溶かされるようだ。すでに些細な嫉妬など跡形もない。

自分はこんなに仙道を愛してる。でなければ、もっとめちゃくちゃにして欲しいなんて思うはずがない。
もう離れていることができないほど仙道を必要としている、玲はそう感じた。
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