仙道 前半戦

□conte 20
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中から休憩終了の声がかかり、仙道はしぶしぶ戻っていく。それを見送るように見つめる玲に、田岡は声をかけた。

「テニス部はどうだ?」
「選抜予選敗退から立て直しをしているところです」
「聞いた話だと、リーグ戦で君はかなり貢献したとか。1年ですごいじゃないか」
「いえ……」


バスケのチームプレイとは違うが、テニスの勝敗も団体戦だと5組の成績で決まる。たとえ自分個人は勝利していても、相手校に3組が勝たねばチームの負けは負けだ。
少しうつむいた玲を見て、田岡は静かに語りだした。

「お互い厳しい……な。高校の部活とはいえ、結果がすべてなところがある。仙道は、私がスカウトしてきた。だから私には責任がある。仙道を、陵南を全国に連れていく、な」

玲は、そのあとに続く内容に思わず身構えた。恋愛なんぞに費やしてる時間はないとでも言われるのではないだろうか── が、田岡の言葉は優しいものだった。

「芹沢、きみも全国を狙える選手だそうじゃないか。一緒に頑張れるか?」
「はい」
「そうか、期待している」

玲はしっかりと顔をあげた。

「どちらが先に行けるか、競争ですね。私、仙道にもバスケ部にも負けません」

ニコッと笑う玲の顔を田岡はマジマジと見つめた。
ただ、キレイな子だからだと思ってた。かわいいから惚れたのだと思っていた。

ったく、仙道め、やりおる―――
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