仙道 前半戦
□conte 25
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テニス部の練習試合の翌週は、バスケ部の練習試合も陵南で行われた。相手は魚住のライバル、赤木を擁する湘北高校。
勝てる試合だと思っていたにもかかわらず、結果はギリギリの辛勝。これでまた一段と田岡の指導に熱が入ることだろう。
「オレを倒すつもりなら、死ぬほど練習してこい!」
「ぬ、センドー」
仙道と桜木はギュっと握手をかわす。その時、彦一が玲に気づき呼び止めた。
「玲さーん、さっきはえらいすんませんでした」
遅刻した仙道と連絡をとろうと、テニスコートの玲のとこまで聞きにきたのだ。いや、田岡に走らされたというのが本当のところ。ぺこぺこと謝る彦一と立ち止まった女子に、湘北メンバーの視線も自然と移った。
「こっちこそ、役に立てなくてごめんね」
「試合見はりましたか?」
「うん、練習あったから途中少しだけど」
そう言ってから、彼女は仙道を見上げた。
「で、結局、何だったの?」
「すみません、寝坊です」
今まで以上に柔和な笑みをみせる仙道。
その時、花道が彦一をとっつかまえた。無理矢理引っぱられ、ゲホゲホと苦し気な彦一だが、そんなことに構ってなどいられないといった様相。
「何するんや、桜木さん……」
「おい、あ、あの女子と知り合いか?」
「ああ、仙道さんの彼女さんですわ」
湘北チームがザワつく。
仙道の彼女だと!?
「じゃ、早く着替えてこいよ。待ってるから」と仙道が彼女に言った。
か、彼女──
待ってるだってよ──
試合以上にものすごい敗北感が──
騒然とする湘北の面々。チッと流川が舌打ちした。
だが、その年のIH予選決勝リーグで、陵南は湘北と全国への最後の椅子を賭けて戦い、敗れることとなるのだった。