大学編 牧

□conte 04
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まだ苦しい気持ちを抱えてるのか? それとも、それが気になるオレが苦しいのか。

*****


練習が早めに終わった日の夕方。牧がK沢公園をランニングしていると、ふと何かの撮影をしているのが目に入る。その横を駆け抜けようとすると、「牧さ〜ん」と呼び止められた。
座ってヘアメイクを施されていたのは玲だった。

「そっか、家 この辺りだって言ってましたよね」笑って手を振ってくる。
牧は足を止めて少し近づいた。ランニングウェアの撮影らしい。今ブームらしいことは周りをみればわかる。

「今日は藤真と一緒じゃないんだな」
「レディースの撮影なんです。夕日をバックにランニング。まあ、健司ならいても違和感なさそうですけどね。」
「顔だけならな」と笑って返す牧。

その後、自分のいつもの量を走り終え休んでいると玲がやってきた。

「走るふりだけで不完全燃焼ですよ〜」

ああ、そうか、彼女はずっとテニスをやってたんだっけと思い当たる。

「今から走るか? 付き合うぞ?」
「このカッコじゃ無理ですよ」

撮影が終わって 私服に着替えてしまっていた。それより、と玲は続ける。

「お腹すいたんで、そっち付き合ってくれません?」
「今度はオレのほうがこんなカッコなんだが」
「ラーメンとか定食屋さんとかですよ。それならOKでしょ?」

麻婆豆腐とか酢豚とかいいなあと誘いかける彼女に、牧も食欲をそそられ、よしっと立ち上がった。


店を出ると、雲行きが怪しくなってきてることに気づく。駅までもつだろうかと思っていると、やはり急に降り始めた。
家はすぐそこだからせめて傘を……と牧は玲の手を掴んで走った。
あっと言う間に本降りになる。

「傘も意味ないな」
「通り雨でしょうから……」

とその時、轟音が鳴り響いた。雷だ。

「風邪をひく。ちょっと時間を潰していけ」

牧は玲をドアの中に引きいれた。
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