大学編 牧

□conte 07
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どう説明をつければいいのかわからない。
こんなに判断に迷ったことはない。

*****


あの日から1か月。気がつけば、このありさま。自分が側で見守ってやりたいという欲に、あっという間に支配されてしまった。

そして、こんな関係をもたなければ決して知り得ない彼女に……心かきみだされる。もう後戻りできない。

彼女のすべてを自分のものにしたい。会いたいと思うのは自分であって欲しい。ふとした時に思い浮かべるのは自分であって欲しい。彼女のその心が欲しい。自分のそばにいて欲しい。

そのためには言うべき言葉がある。けれど、なぜかためらわれた。愛の言葉を口にして、彼女に戸惑われるのが怖かった。
怖い── 自分がそんな風に感じることに驚き、また呆れてしまう。今までこんなことはなかった。そのくらい玲を求めていた。


どちらからともなく連絡をとり、たびたび会う。食事をしたり、飲んだり、一緒に買い物したり。
あの日のK沢公園でともにランニングする。座ってストレッチする牧の背中に、玲も上から背中を合わせ体重をかけると、牧がウッと低くうめいた。

「あれ? これ以上ムリ?」
「違う、重たいんだ」
「あ、ひどいっ、牧さん!」

体を起こしたときに、ひとつに纏めている玲の髪が、牧の首から背中を撫でるようにかすめた。その髪を軽く掴み寄せ、ふいに玲にキスすると、玲は驚いたように目を見開いたが柔らかく微笑んだ。

今日は玲がモデルをつとめる雑誌の巻頭のコラムを書かせてもらえることになったと言うので、そのお祝いをしようと待ち合わせた。すると、玲が良かったら何か作りますけど、と提案してくるではないか。

「それじゃ、お祝いにならないだろう?」
「じゃあ、ワインでも買ってください。それがあれば充分です」

シャンパンと、少しいい白ワインを買った。
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