大学編 牧
□conte 09
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あの時、思わず口から出た言葉は俺の真実。
彼女の真実が知りたい。
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忙しくない日を狙ったので、店内は比較的落ち着いていた。一番奥のソファーに身を沈め、気心の知れた友人たちとの酒はリラックスする……はずなのだが、牧にとってほんの少しの静かな緊張感もたたえていた。
玲の前でのぼった仙道の話題。
そして──
「玲もなあ。そろそろ新しく踏み出してもいいんじゃねーかな。恋の痛手は次の恋で、って言うだろ?」
「とか言って、誰でもいいわけじゃないんですよね? 健司兄さんとしては」
「じゃあオレが選んでやろっかな。神、どうだ? おまえら普通に仲いいみたいだし」
今度はそっちか……と牧は心の中で溜息をついた。自分にふられても困るが、神に話がいくのも複雑だ。
「なあ、牧、神ならおまえも太鼓判押すだろ?」
ああ、と生返事をするが、何とも居心地が悪い。すでに玲と個人的な付き合いが生じているのを言えないでいるからなのか、言える段階にないからなのか……
いたたまれなさもあり、ちょっとオーナーと話してくると牧は席を立った。
残った藤真と神でなお盛り上がる。
「だから、オレと玲ちゃんの間に恋愛感情はないですよー。オレも兄貴感覚かな」
「何だよ、つまんねーなあ」
面白がらないでくださいよと神は笑った。
「牧さんはどうですか? 確か今フリーですよ?」
「オレ、玲の実の兄じゃねーけど、なんかそれ、牧が弟になるみてえで変な感じ。でもそれおもしれーかも」
「その藤真さんの判断基準が変ですよ」