仙道 後半戦
□conte 37
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12月25日クリスマス。イブはそれぞれ各自過ごしていた芹沢家の女性陣だが、大阪から戻ってきた母がクリスマス料理を振る舞うというので、仙道も招かれた。
「関東大会行ってたら、クリスマスどころじゃなかったんだけどなー」
「オレもウィンターカップの真っ最中だったな。でもおかげでこんな旨いもん食えてるけど」
玲は夏の予選優勝校とあたってしまい敗れ、仙道は準決勝で湘北に勝ち、桜木がフル出場できなかったとはいえ夏のリベンジを果たしたが、決勝で海南に負けた。今年の選抜出場は、やはり海南となった。
「まだ、あなたたちは来年があるじゃない、両キャプテン! 健司は高校最後だったんでしょ?」と姉が言う通り、準決勝で翔陽は海南と対戦し敗れた。
玲は見てないが、仙道から聞いた。藤真は清々しい顔をしていたという。
「藤真さん、どうするって?」
それには玲の母が答えた。
「A学院大にするそうよ」
「そうですか。じゃ、牧さんとの勝負、また見れますね」
「ストイックよね〜。青春、そこに注いじゃうのかしら」と姉は苦笑いする。そして、彰くんは将来どうするの?と聞いてくるではないか。
「国体から注目度がすごいって聞いてるわよ?それにバスケ雑誌にも載ってたじゃない。きっとあちこちからお声かかるわよ?」
夏に彦一からもらった仙道が特集されている週刊バスケットボール。姉に見せたことがある。
だがその話が出て思い出すのは、その雑誌に載っていた高校NO.1といわれる沢北選手がIH後に渡米するらしいという記事。バスケを志す者なら誰しも憧れるアメリカ。
仙道は……?どう思っているのだろう。怖くて聞けないというほど現実味はないが、頭の片隅にはちらつくものがあった。
「その前に全国に行かないと。オレ、まだ勝ち上がって全国……行ってねえんすよね」
「皆、なーんて健全な青春してんのかしらね〜」
姉は笑いながら、でも母が席を立った隙に「玲、昨日帰ってきてないでしょ」とふたりを見てニヤニヤした。
「で、玲はどうすんの?」と話を振られた。2年の冬休み、1年後には受験シーズン直前も直前。考えなければいけない時期になってくる。だが玲はほぼ決めていた。