仙道 後半戦
□conte 40
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「それにしても、そんなこと考えてたんだ?」
仙道が覗き込んでくるので、玲は反対側に顔を反らした。ちょっと突っ走りすぎてた……と自分でも恥ずかしくなってくる。だが、仙道がそんなふうに自分を必要としてくれていたことが嬉しい。
自分も仙道がこうやって包み込んでくれるから頑張れる、などと思っていると、ふいに耳元で囁かれた。
「コミュニケ―ションが足りなかったんだなあ」
それが聞こえたと同時に押し倒された。仙道に押さえつけられ、いきなり深いキスを与えられる。甘い甘いキス。
何だか今日の仙道はスイッチが入ってしまったようだ。なかなか離してくれない。
「これが…コ…ミュニケ―ション……!?」
「ん、確認しあわねーと」
玲……とせつなげに名前を呼ばれる。それだけで気持ちがたかぶる。拒むことなんてできない。
制服の裾から大きな手が侵入してきた。その間も優しく口づけてくれる。唇が名残惜しそうに離れていくと、至近距離で仙道と目があった。フッと笑いかけられる。
なんて柔らかい顔で笑うんだろう。どうしようもなく愛おしい気持ちが沸き上がり、自分からも仙道の唇を求める。
仙道の頭を抱きかかえるようにしがみつくと、そのまま体を起こされ、背中にまわされた手によって、器用に留め金がはずされた。そして脱がされ、ベッドに寝かされる。
胸の頂に仙道の唇が触れるか触れないか……その寸前に動きが止まった。
そのまま上目づかいに玲を見上げてきて、思い出したように、「なあ、玲は?」と反対の胸に手を添えたまま聞いてくる。
「電車で会う男に言い寄られてるんだろ?」
「な、何で…それを……」
与えられるはずの刺激が寸止めされ、焦れる気持ちと、その質問に驚く。
「ん、選択授業の時に小夜子ちゃんが」とニコッと笑みを向けられた。
「玲のことだって男がほっとかないんだから、知らないよ、って。だからさっきやめてって言われた時、オレ、振られるのかと思った」
ザラッとした舌先が触れた。そのまま口に含まれる。
「なんか、いつも嫉妬してるのオレばっかりだなあ」