仙道 後半戦

□conte 41
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桜の季節も過ぎ、高校テニスは早々に予選が始まった。神奈川予選を勝ち抜いても、関東大会が待っている。

3年になり、玲と仙道は同じクラスになった。だいたい私立文系は3クラスだから、確率的には高いとはいえ、田岡の差し金に違いない。

団体戦とシングルスでも出場する玲は、新学期早々、公休扱いで休んだり、来たと思ったら早退していったり。仙道も最後の夏。予選開始まで練習に余念がない。
最近は当たり前だが朝練も毎日だ。しばらく土日も休みなしだろう。

でもそこは同じクラスであることに感謝しなければならない。
玲が途中で抜けて試合に行くときは、頑張れとアイコンタクトを送る。朝練を終えた仙道が駆け込んでくると、お疲れと声をかける。そんな些細なことが、今はエネルギーになっていた。


今日は一日学校だと玲がホッとしていたある日の午後、担当教師の都合で自習となった。
なんてラッキーな日だと思っていると、仙道に腕を引かれた。

「玲、きて」

仙道に連れられて屋上へ。かつて告白されたときのように並んで座るが、玲の頭は仙道の肩にちょこんと乗せられる。

「お疲れ、予選突破おめでとうだな」
「ありがと。でもまた21日から関東大会。ほんと、つかの間の休息」
「え、21日? 順調にいけばオレらもその週末にリーグ戦の決勝なんだけど……」

完全にカブっている。まあ、いつものこととはいえ、最後の夏なのにと思わずにはいられない。

「オレたち、こういう巡り合わせなんだろうなあ」
「すれ違う運命……?」
「いや、重なりすぎる運命ってこと」と言って仙道は玲にそっと唇を重ねた。

笑った隙をついて、舌が入り込んでくる。こんなにゆっくり仙道とキスをしたのは久しぶりで、だんだんお互い夢中になってしまう。何度も何度も繰り返していると、仙道がふいに体を離した。

「これ以上はヤバい……」
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