仙道 後半戦

□conte 42
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車で送ってもらって玲が会場に到着したときには、すでに第4Qも始まっていた。体育館に入ると、ものすごい歓声が聞こえる。
試合はどうなってるの──? とにかく手近な入口から会場に入ると、得点板が見えた。

残り2分。陵南69VS67海南  

勝ってると思った瞬間、コートに目を移すと、神のスリーポイントが放たれ、リングに吸い込まれるように決まってしまう。これで69VS70。1点のビハインドになり、このタイミングで田岡はタイムアウトをとった。

仙道の調子は? 陵南の皆は? 対する王者海南は? まったくわからなかった。
ラスト2分。会場内は緊張感が張りつめている。

タイムアウト終了で両メンバーが動きだし、また大きな歓声があがった。その歓声が落ち着き、いったん静寂に包まれようとしたその時── それを破り、コートに玲の声が響く。

「仙道! 一緒に全国行くよ! 私勝ったから!!」

周囲の視線が一斉に玲に集まった。今飛び込んできたらしく、テニスウェアのままで息を切らしている。偶然近くに座っていた湘北メンバーも玲に気づいた。

「スゲー後押しだな。彼女IH出場決まったってことだろ?」

仙道は振り返り、いつものようにニコッと微笑んだ。田岡もうなづき、さらに仙道に火が付いたに違いないとほくそえむ。

清田のドライブを仙道がスティールする。そのままカウンターに入り、神を抜き去り、さらにヘルプで出てきた海南センターをかわして決めるかと思いきや、走り込んできた福田にパスし、ノーマークの福田が決める。  
陵南、スーパーコンビだ。

そしてそれにつられるように、陵南センターも次のリバウンドをもぎとる。それを越野から植草に回されたが、リターンのすえ、越野がミドルショット。

流れはあきらかに陵南だが、今まで幾多の危機を乗り越えてきた海南。神を必死でマークするものの、一瞬の隙をつかれ、それを見逃さず決められる。
緊迫した状況が続く―――
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