仙道 後半戦
□番外編 3
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海南大附属高校。
常勝バスケ部の練習もランニングから始まる。国体も終わり、季節はスポーツの秋真っ盛り。
練習試合も自然と多い時期。本日は女子テニス部が例にもれず試合であるらしい。
ランニングをしながらも、短いスカートが揺れるさまに、思わず視線はテニスコートへ。
「神さん、あそこ」
清田が指さすほうを見るまでもなく、目を引かれる先にある姿を見て、神がつぶやく。
「相手は陵南か」
「……ヤバいっすね、あれ」
「ほら真面目に走れよ。仙道に言いつけるよ? ノブがいやらしい目で見惚れてたって」
牧さんじゃなくて、そっちにですかぁ?と清田はゲンナリしながら、だが、視線は残したままにいつものメニューをこなした。
自販機でお昼のジュースを買うと、その向こうから聞きなれた音がしてくる。ボールの音、バッシュのきしむ音。玲は思わず開け放たれたその扉の方へ回ってみた。
やはり、ここも同じ。雰囲気は違っても、熱心に練習する部員たち。しかもここは県下1位の海南。
常勝かあ〜とぼんやり見つめていると、
「あちい!」と中から飛び出しきた清田と
目が合った。
「あっ!」
まさか知ってる顔に出会うとは思っていなかった。
「どうも……」
そして、その後ろから牧も現れた。ペコッと軽く頭を下げると、牧も驚いたような顔をしたが、「練習試合だそうだな。ついでにバスケ部偵察か?」と笑いながらやってきた。
「自分のことだけで手いっぱいですよ。あ、国体はお疲れさまでした。それに牧さんはF体育大ですよね、おめでとうございます」
「さすが情報、早いな」
「要チェック!ですからね」と例のセリフを添えれば、「ああ、あいつか」と、そのわかりやすさに牧も笑った。