仙道 後半戦

□conte 30
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秋の国体──
神奈川男子バスケットボールは、今年は海南・湘北・陵南・翔陽の混成チームを組んだ。

9月の連休を利用して、海南での3日間の合宿。練習を終え、息を抜くことが出来る夕食のはずなのだが……
「男ばっかで色気ねーなあ」と三井が辺りを見回せば、「いつもの合宿なら彩ちゃんいるのになー」と宮城も夕飯をつつきながら溜息をついた。

「ここいいですか?」と仙道は空いていた牧の向かいに座った。こんな機会でもないと、ゆっくり会話もすることのない他校同士。バスケ以外の他愛もない話に盛り上がる。

 牧のサーフィンのこと、清田の飼っている犬の話、花形が学年トップクラスの成績であることが披露されると、皆から羨望のまなざしを向けられる。
それぞれの学校の話などをしていると、ふと牧が思い出したように口を開いた。

「この間、うちの学校の男子テニス部のキャプテンに、陵南バスケ部にデカくてこんな髪型のヤツいないかって聞かれたんだが、そんなのお前しか考えられないよなあ」と仙道に顔を向けた。

「へ?俺?なんでっすかね??」
「身に覚えない……か?」と牧は溜息をついた。

そいつ、ひとめぼれした陵南の女の子に告白しにいったら、その最中に突然そいつが現れて、オレのだからって彼女をさらっていったって話だぞ?と。

「あ、オレかも」と仙道は苦笑いする。
「玲ちゃん拉致事件……」

そのまま消えて、しばらく戻ってこなかったことを福田が暴露すると、三井が何してたんだあ?とニヤニヤしながら仙道を小突いた。

「あのテニス部キャプテン、女子に人気あるんすけどね。ま、牧さん神さんほどじゃないっすけど」
「何言ってるんだ、清田。あいつ手が早いで有名だぞ?」
「え、爽やかそうな顔してそーなんすか?」
「こいつだって似たようなもんだろ、俺の従妹に手ぇ出しやがって」

指さされた仙道は勘弁してくださいよと首をすくめる。

「ま、仙道の彼女は目を引く美人だからなー」

その神の呟きに、そうだろ?と頷くのはなぜか藤真。そこからは仙道がやり玉にあがる。

「バスケばっかで文句いわれないか?」
「あっちもテニス漬けですから」
「彼女かわいいから心配じゃない?」さりげなく神が煽る。

ハハ……笑ってごまかしたが……

「藤真が彼女の家に邪魔しに行くと言ってたぞ」

花形の言葉に、仙道は箸を持つ手が止まった。すると藤真本人が暴露する。

「玲と風呂はいったことあるぞ。一緒に寝たこともあるぜ?」
「……それは子供の頃っすよね?」

なあなあ、と三井がニヤッと笑うので、嫌な予感がした。

「しょっちゅうヤッてんの?」
「……」
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