仙道 大学編

□conte 01
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ただでさえバタバタな4月。
さらに生活が切り替わったので、それに慣れるのに精一杯。以前は学校に行けば仙道に会えたのに、最初はそれがないのが不思議だった。けれど、そういうことも慣れていくもの。

もともとバスケ、テニスとそれぞれの方向を維持していく中でのふたりの関係だったので、淋しさは感じなかった。お互いを尊重できた。

幸い今までほどでないにしろ生活圏は近い。高校のころに比べたら、大学は時間のやりくりが出来る。自由度が違う。仙道との時間はむしろ増えているかもしれない。


今日は久しぶりに神奈川出身者で飲みに行くことになっていた。
元はといえば、牧が神と約束したら、藤真に話が筒抜けそこから広まった。花形はもちろん、普段から三井とも親交があるらしく、そこから湘北の宮城、そしてマネージャーだった彩子にも。

藤真は玲も誘った。自分はバスケに関係ないからと断ると、バッシュのモデルしてるじゃねーかと押し切られた。

「おまえを知らねえ奴はいねーよ。ついでだから営業しろ」

確かに知らない顔はない。牧が仙道に声をかけたときには、もうすでに話が通っていた。

「それ、玲から聞きました。藤真さん、玲を誘って、ついでにオレを連れてこいって言ったそうですよ」
「仙道の方がおまけか……」


高校時代を考えると変な集まりだな、と言いながらも体育会系の男たちの集団、酒が恐ろしくすすむ。すすむ。
男たちの手にあるジョッキはグラスに見えるくらいだ。大きさの比からして。

「そういえば、このメンバーで国体チーム組んだことあったな」
「懐かしいっすね」
「合宿のとき、風呂上りの仙道に驚いたよ。誰だ、コイツって」と花形が言う。

え、そうなんですか? と彩子が仙道を見て一生懸命想像しようとするが、どうやらかなり難しいらしい。そして玲にそんなに別人なの? と聞いてきた。

「こいつはもう慣れちゃってわかんねえよ」

こんなことを言うのは藤真だ。
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