仙道 大学編

□conte 02
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大学ナンバーワンを誇るF体大。それに対し、近年力をつけ、徐々に台頭してきたA学院大。
今日はそのA学院大と他大学の試合を見にいくために、仙道は午前中の練習後に玲と待ち合わせをした。

玲がラケット片手にやってくる。紹介されて、最近、テニスのコーチのバイトを始めた。
体を触ってくるヤツいるんじゃねーのと仙道は警戒していたけれど、それは逆。玲が教える立場で、手を添えるのはこちらなのだから心配はいらない。


体育館に着くと、観客の多さというより女性の多さに驚いた。間違いなく藤真のせいだ。スポーツ店では、あのポスターが欲しいという女性の問い合わせが多いと聞く。

特に、玲とのバージョンになってから、ふたりの雰囲気に憧れ、自分もこうやって見つめられたいとの願望が高まっているとのこと。

「信じらんない」
「ま、実際、藤真さんもなんだかんだ言って、玲のこと可愛がってるのがにじみ出てんじゃねえのかな」
「は? 見つめあってる振りしながら『終わったら餃子食いにいこーぜ』なんて話してるんだよ?」


何となく、女性の一団から距離を置いたところに座れば、背後から「仙道」と声をかけられた。牧だった。

「あっ! お前、一緒に行くかって誘ったのに、断りやがったのはこーゆうワケかっ」と牧の傍らの男性が仙道に詰め寄った。

「アハハ、諸星さん、勘弁してくださいよ」

牧と同学年のF体大の先輩らしい。諸星は玲を見て、あれ?と首をかしげた。

「どこかで会ったことある?」
「何だそれは、口説きの常套句か?」
牧が呆れたように言う。
「あれじゃないですか? ア〇ックス」
「おっ、そうだ! 藤真の恋人。あれ? 仙道の彼女??」

「なんか、私、二股でもかけてるみたいですね」と玲はクスッと笑った。その笑みに諸星は見惚れてしまうも、それより疑問が勝るようだ。どーなってんの?と視線で牧に説明を求めた。

「仙道の彼女で、藤真の従妹で、一緒に広告出てるんだよな。簡単なことだ」

イトコ!?余計に混乱したようだ。そんな諸星を置き去りにするように、試合が始まった。
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