仙道 大学編
□conte 03
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「ねえ、見て。あの人すっごい背が高い」
友達の視線を追うと、仙道ぐらい背のある人……じゃなくて、後ろ姿でも間違えようのない髪型。
「あの人、知り合い……」
「え?そうなの? あれ……?」
「ちょっとごめん」
呼び止めると、何ともゆっくりと仙道は振り返った。
「あ、玲」
午後が空いたから、ふらっとこっちの大学に来てみたらしい。会えなかったらどうするつもりだったのだろう。
「会えたからいいだろ?」
相変わらずのん気な仙道だ。紹介しようと思ったら、友達から先に言われた。
「彼でしょ? バスケやってるっていう」
「うん……見てわかるか。便利なもんね」
「それにカッコイイ……」
玲はまだ講義が残っていた。
一般教養で大きな講義室だから、仙道も付き合わせた。つまらない授業だが、出席さえしていれば単位がもらえる。先生がひとりで話しているだけで、誰も話を聞いていない。
高校とは全然雰囲気が違うとはいえ、仙道と一緒に授業を受けるなんて久しぶりだ。それが当たり前だった日々が懐かしく感じる。
机に伏せて顔を向け合い、コソコソしゃべっていると、あの頃に戻った気がする。
「ところでこれ何の授業?宗教じみてるな」
「まあね、『キリスト教概論』ここカトリック系だから必須なんだよね。あの先生、どっかの教会の牧師もしてるんだって。その教会に礼拝にいくと成績Aもらえるって噂だよ」
「へえ、教会ねえ。愛を誓いに行く? Aももらえて一石二鳥だろ?」
「彰は懺悔してきなさい……」
一番長く感じる講義のはずが、あっという間に終了時間。最後の方、仙道は案の定寝てしまう。
授業中の寝顔も懐かしいなんて思っていると、普段同じクラスの男の子が玲に話しかけてきた。