仙道 大学編

□conte 05
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UCLAとのチャリティー親善試合から1週間ほどたった頃。実際、藤真の誘いで何人かで集まるという。玲も飲みに行くという話は聞いていた。

夜、藤真から電話がはいった。珍しく仙道がけっこう酔っているらしい。そっち連れ帰っていいかと聞かれた。今夜は姉はいないのでちょうどいい。

藤真に連れられてやってきた仙道。ひとりで立てないような悪酔いはしていない。
玲を見ると、「あれ? 玲だあ〜」と仙道が抱きついてきた。

「な? 何か変だろ?」

玲にしなだれかかる仙道を見ながら藤真は首をかしげた。

「こんなだし、いつも以上に『玲、玲』って言ってたけど、何かあったのか?」
「いや、わかんない。ありがと、健司」


玄関の鍵を閉めるなり、仙道に押し倒された。床に転がり込むように。

「ちょっと、彰…? どうしっ……」

痛いくらいの力で手首を掴まれ、押さえつけられた。玲の抵抗などモノともせず、かなり強引に唇を奪われる。そこから伝わるアルコールの味。かなり飲んでいるようだが…それにしても……どうしたというのだろう。仙道がこんな酔うなんて──

Tシャツの裾から性急に手が入り込み玲の体をまさぐり始める。ここで脱がしにかかってきた。

「待っ……彰、彰ってば!?」

今までになく強く押し返すと、仙道はハッとしたように我に返った。

「…ワリィ…ちょっと酔ったみたいだ……」

立ち上がり、手を引いて起こしてくれた。そして玲の肩口に額をあて、「ごめん……」と消え入りそうな声で言う。


その後、シャワーを浴びると、仙道はスッキリしたような顔をしていたが、どうしてそんなに飲んだのか?と聞いても、答えをはぐらかされるだけだった。
そしてベッドで玲は仙道に抱かれた── が、やはり違和感はぬぐえなかった。

優しいけれど、いつもにも増して激しい行為だったような気がする。それにずっと耳元で「愛してる」と言われつづけた。
その心地良い響きに流されてしまったけれど、あの日の仙道はやはりいつもと違っていた……。
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