大学編 神

□conte 01
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彼はアメリカに行く。
私たちはお互いのために別れを選択した。
それは正しかったと思う。
その方がきっと彼は自由になれる。


*****

大学編 第2部 神


次の撮影の打ち合わせが終わって、帰ろうとしていると藤真の携帯が鳴った。

「ああ、玲と一緒。うん、誘って行くよ」

神からの電話で、牧と飲んでるから来ないかという誘いだそうだ。
神とは藤真を通して時々接点があるが、牧とはいつ以来だろうか。仙道のことを忘れられなくて飲んで迷惑かけた時かな……と玲は少し苦々しい笑みを浮かべた。


牧と顔を合わせると、「おお、元気……か?」と遠慮がちに聞かれた。やはり先日やらかしてしまったことが、色濃く印象を残しているらしい。

「やだなあ、元気ですよ」

ニッコリしながら玲はそう答えた。でもありがとうございます、と。牧はそうかと頷き、向かいに座るよう玲と藤真を促し、ビールを注文した。

そこから30分ほど遅れて清田がやってきた。4月から彼も都内の大学に通っている。

「なんすか、この華麗なる集団は。藤真さん、玲さん、牧さん、神さんって目立ちすぎ……」

しかも酒量もハンパねえと驚く。そして「信長くんも座って」と玲が笑っているのを見て、久々に会う清田もちょっとホッとしたような顔をした。

事実、玲は楽しかった。仙道のことを連想させるメンツではあるが、それでも心に波風たつようなことはない。
ずいぶん消化してきたもんだと自分でも思うし、そう思えるようになってきたことに安堵する。そんなこんなで気安い顔ぶれということもあり、けっこう飲んでいた。

「すごいな、あの体のどこに入ってるんだ?」

牧が感心しながら藤真に耳打ちする。

「だから安心なような、心配なんだよな。でもあいつは強いよ。酒のことじゃなく、な」
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