大学編 神

□conte 07
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「いつからなんすか?」

 店に入り座ったとたんに清田が疑問をぶつけてきた。

「この間、皆で飲んだあとぐらい?」
「まさにその日に告白したんだよ。その後しばらく玲に放置されたけどね」

玲さん、放置プレイっすか? なんて言うから、神にベシッと頭を叩かれた。バカだな、それは正確にはSM用語なんだよ?とたしなめられる清田。
以前から思っていたが、このふたりの先輩後輩の関係は実にバランスがとれている。微笑ましい。

「あれは……時間の問題だったのに、私が変に意地張ってただけ」

そう、頑なに意地を張っていただけだ。自分はそう簡単に心変わりしないと。なのに、今はいとも容易く……日々、神に気持ちをもっていかれている。

「時間の問題?」神が首をかしげる。いや、こっちのこと、と玲は笑ってごました。


「それにしても、神さんが告白したなんてレアっすね。初めて聞いたかもしれねえ」
「そりゃそうだよ、初めてだから」
「ま、マジっすか!? じゃあ、今までの彼女は……」と言いかけて、慌てて「いや、その……」と口ごもる。そのうろたえ加減が清田らしい。

「大げさだなあ、ノブは」と神は笑っていたけれど、その数倍は告白されてたじゃないっすか、という言葉を清田は飲み込んだ。

「そうっすか……神さん、自分からしたことなかったんすね」

その話に驚いている玲に向かって、神がニヤリとして言った。

「玲だってそうなんじゃない? そういや、昔、海南の男テニのキャプテンから告られたなんてこともあったね」

あ、そうだっけ?と曖昧な返事で笑うしかない玲。それを見て、清田は思った。

このふたりにはついていけねえ―――

自分の今後の恋愛の参考にはならないと判断した清田は話を変えた。

「さっきのスポーツショップで藤真さんと話してたら、知り合いだってことで、店の人が割引してくれましたよー。ポスターもすげえいっぱい貼ってあって」
「ああ、健司のお膝元だからね……私、恥ずかしくて行けないよ」

何でっすか? 今回のもお二人ともカッケーっすよ? と清田持前の素直さでニッと笑ってくる。そして、頭に浮かんだこともポンと素直に口にした。

「玲さんと知り合いだって言ったら、ウチのバスケ部連中が紹介しろって大騒ぎ!」
「……もう、ノブを玲に近づけられないな」
「いやっ、だから、それは……今は神さんの大切な彼女と知ったからには、んなことしませんって」

大慌ての清田に神は相変わらずだね、と楽しそうに口の端をあげる。

「宗一郎、そんなにからかわないでよ」
「ノブ面白いから、癖になっちゃうんだよね」

自分をからかうのが癖になるとか何とかより、清田の中では『宗一郎』に反応した。自然と呼ばれたそれに、玲が神に馴染んできたことを感じ、何だか暖かい気持ちになった。
自分が尊敬する先輩の恋愛がうまくいったら、嬉しいに決まってる。

それにしても、いつの間に……
さすが神さん―――
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