大学編 神

□conte 08
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週末に練習試合が決まった。相手はF体大。
神も藤真も正直言って、玲に声かけるか迷った。でも今回は神もスタメンとして出ることになっており、言わないのはおかしい。

神が話すと「もちろん見に行く」と返事が返ってきた。玲だって、一瞬ためらった―――

F体大……かつていた人のことを思い出さずにいられない。以前は試合を見にいくと、F体大を応援していたのだから。
でも、あれから半年以上たつし、今は神と付き合っている。せっかくのスタメン出場なのに、神に言いづらい思いをさせてしまい申し訳ない。試合があるんだけど、と遠慮がちに聞かれた気がする。だからこそ、なおさら行くと決めた。


会場はこともあろうにF体大。 1、2度しか行ったことはなかったけれど、体育館の場所は覚えている。中に入ると、アップを終えたところだった。

牧や諸星がいる。久しぶりにあのユニフォームを見た。それらが何だか懐かしい景色に思える。もう大丈夫、そう確信した。

それよりも今は自分はA学を。神と付き合い出してから、初めての試合らしい試合だ。
だが、勝敗は一歩及ばず。神のスリーは相変わらずかなりの高確率で決まっていたけれど、負けた。

フロアでは両チームが挨拶をかわしていた。牧たちと談笑していた神が、ギャラリーの玲に気が付き、手をあげた。

「玲、待ってて?」

それにコクリと頷く。その親密な様子に牧は驚きを隠せない。

「おい、神、どういうことだ?」
「言ってませんでしたっけ? 付き合ってますって」 
「初耳だ」

この間までそんな感じではなかった。だが、藤真と近い存在の神ならおおいにありうる。藤真がオレが奔走してやったんだよ、などと言うから、「キューピッドかよ、似合い過ぎっ!」と諸星に突っ込まれるというおまけ付き。

「良かったな」と牧は神の肩に手を置いた。
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