大学編 神

□conte 11
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駅で越野と福田と別れると、神が軽く玲の肩を引き寄せ、ふわっと髪にキスを落とした。それは「良かったね」と言っているようだった。

「明日、お休みだよね?」
「うん」
「宗一郎のウチ、行っていい?」

神はニッコリ笑った。

福田、見たか――?

「ああ、しっかり」
「神って意外と……」
「中学のときから彼女いて、モテてた」
「何か、オレらの立場って変わんねーな……」




玄関の鍵を閉める音とともに、後ろから抱きしめられる。髪をかき上げられれば、首筋に唇を感じた。

「ま、待って……」
「待てない」
「あ…シャワーとか……」
「いいよ、そんなの」
「……よくない」

玲の服を脱がせ始めるので、バスルームに逃げ込むと、「鍵かけないで」との声が向こうから聞こえた。

髪を洗い流していると、神が入ってくるのがわかった。水音だけが響く。後ろからそっとシャワーヘッドを取られた。

指が絡まり、急に向きを変えられたお湯が、勢いあまって玲の顔に吹きかかり、むせてしまう。笑いながら謝る神。

「ごめん、体洗ってあげるから」

一度ギュッと体を抱きしめてから、神はボディーソープを手にとった。

鍵をかけないでという言葉に素直に従った。
今、香りのよい泡とともに神の大きな手が自分の肌の上を滑っていく、そのたびに吐息が漏れそうになるのを必死で我慢している。
一部の場所だけ、執拗なくらい念入りに洗い上げられた。
思わず声が口をついて出るが、ここではそれがやたらと響き、自分の耳にこだまする。自分の発したその音の、そのいやらしさに羞恥心を煽られる。

「ん…ソウイチ…ロウ……」

玲は耐えられなくなって、神の肩に手をかけ自分の体を支えた。

「あ…ちょっと……」
「なに?」
「……ここで?」
「ん」
「でも……」
「ちゃんと避妊するから」
「そういうことじゃなくて……あっ」

神は愛撫の手を止めない。

「立ってられない……」と玲は壁に寄りかかり 背中を預けた。
水の滴る体は何とも言えず艶めいている。顔に張り付いた濡れた髪をはらい 唇を奪うと、神は玲の腰を押さえつけ固定させた。

「……オレも我慢できない」




腰にタオルを巻いて出てきた神。
冷蔵庫からペットボトルを取り、グラスにうつしてベッドサイドに座る玲に渡してから、そのままあおって喉をうるおした。

「この間置いていった私の服、どこかな?」
「後で出すよ。どうせまた脱がすことになるから」

濡れた髪を無造作にアップにし、バスタオル1枚の姿で頬を染める玲の何ともいえない色っぽさに またすぐに抱きたくなる。
いつもの笑っている玲に、強気で潔い玲に、そしてベッドの中での玲にも溺れている自覚があった。

となりに座ると、額に軽くキスする。玲 が胸に頭を寄せてきた。

「あったかい」
「玲の胸の方があったかいよ」と 神が玲のバスタオルの中に手を伸ばそうとすると、玲に手首をとられた。
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