大学編 三井
□conte 11
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三井が宮城たちと示し合わせて 湘北高校へ久しぶりに顔を出すという。玲も来てほしいといわれ、待ち合わせの藤沢に一緒に向かった。
梅雨空にあじさいが映えるころ。かろうじて今日は降っていないが湿度は高い。
「そういえば、宮城くんたちって知ってるの?」
「…言ってねえ……」
「そんなことだと」
「何て言えばいいかわからなくてよ」
案の定、三井と一緒に現れた玲に宮城、彩子、木暮の3人は驚いた顔をした。玲もこっちの方に住んでいたわけで、偶然会ったのかと聞かれる始末。
「安西先生に紹介しようと思って……よ」
「玲ちゃんを? え? なんでっすか?」
あっ、と彩子は気が付いた。そしてビックリしたように玲を見た。
「彼女だって紹介すんだよ!!」
めんどくさくなりそう言い放てば、一番驚いたのはやはり宮城。え? だって…? と腑に落ちずに、質問攻めにしそうなのを彩子に止められる。
そのとき、あの〜と木暮が「オレにも紹介してくれよ、そりゃ知ってるけどね」と申し訳なさそうに口を開いた。
「私も知ってますよ、木暮さん。あの決勝戦見てますからね。えっと、仙道の元カノの芹沢です」と満面の笑みで言う。
「な、なんだ それっ!」
「自己紹介。一番手っ取り早いでしょ?」
そのわかりやすさに宮城と彩子が感心していると、焦る三井を置いてきぼりにして、玲は木暮と話しながら湘北に向かって歩き始めた。
「三井サンやられっぱなしっすね。それにしてもいつの間に。この間皆で飲んだときは付き合ってなかったっすよね?」
家に送っていったのは神だし、と宮城は記憶をたどる。
「そう、最近だよっ」
「どうやって落としたんすか? オレが仙道を忘れさせてやる! とか?」
「………」
彩子もさすがに驚きました、と三井に探りをいれる。
「でも彼女、幸せそうですね」
「さすが彩子、いいこと言うなー」
宮城にはもったいねえこっそりと耳打ちした。
ちゅーす! 体育館で挨拶すると、部員たちが集まってくる。現3年生は1年の時のキャプテンが宮城だ。そして、そのキャプテンより信頼を集めていたのが彩子。三井と木暮も初全国で山王を倒したときのメンバーということでよく知られていた。
が、一番驚かれたのが玲。ア〇ックスの! スゲー! と男子高生たちの遠慮ない好奇心に玲のほうが腰がひけていた。
「ほっほっほ、変わりはないかね」
安西先生にそれぞれ近況を報告する。三井は何とも嬉しそうだ。
その話がひと段落するころ、先生、と三井が改めて玲を紹介した。
「どこかで会ったことある気が……」
翔陽だった藤真の従妹で、一緒にア〇ックスの広告に出てますと言うと、いや、もっと前にどこかで……と不思議そうにされる。
「陵南高校でしたけど……でもバスケの試合は数回しか見に行ってないんです。自分もテニスやってまして」
「ああ、合点がいきました。君のテニスウェア姿を予選会場で見たことがありますよ」
「……テニスウェア?……あっ!」
玲の顔がいっきに赤くなった。
「はい、あれは…私です。よく覚えておいででしたね……」
「印象的でしたからね。ほっほ」