あれから5年後
□conte 01
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突然もたらされた話をさほど驚くことなく受け入れることができるほど、時間はたっていた。
Conte 01
相当久しぶりの藤真からの電話。
ひとつ年上の従兄は、今はプロとしてリーグで活躍している。ア〇ックスとの契約はとっくに終了しているが、バスケ雑誌、リーグのポスターには必ずといっていいほど登場しているので、時折目にする。
お互い学生のころは、何かと顔を合わせる機会があった。今でも時間が許せば藤真の試合を見に行ったりするが、電話をもらうのは久しぶりだ。
相変わらずいきなり本題を投げかけてくる藤真。こういうところは変わらない。
「仙道、戻ってくるってよ」
「……え?」
「一時的じゃなく、正式帰国らしいぜ」
現在、日本のバスケ界はふたつのリーグが存在し、二分化してしまっていた。今後の発展のために統合することが決定され、その促進、加勢のためにNBAで活躍する仙道に白羽の矢が立ったらしい。
仙道が帰ってくる―――
大学4年の春にNBAドラフトにアーリーエントリーし、見事入団を決めた。その器用さとセンス、そしてアシストに徹することを厭わぬことから、スター揃いのチームでも重宝される。
若くて、イケメン、そしてその実力。日本のマスコミもこぞって注目した。だからその活躍ぶりは目にしていたが、紙面や映像で見る彼しか知らない。
1、2度帰国したことがあるらしいが、話に聞いただけ。その時の集まりに声がかかったが、本当に先約があったこともあり行かなかった。
そうあるべきだと思ったというのもある。あの5年前から、本当に一度も会っていなかった。
「しかも、ほら、あの彦一の話だと、オレんとこのチームに来るとか? まだこれは未確認だけど」
バスケ雑誌の記者となった彦一が藤真のとこにもよく来るらしいのは聞いていたが……どうにも返答に困る。そもそも現実味がなくてピンとこない。そうなんだ、としか返せない。
「ところで、お前、まだあの広告マンと続いてんの?」
「うん、まあ」
「じゃ、また一緒に見に来いよ」
「ありがと。健司もケガしないでね」