あれから5年後
□conte 13
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見に来てと言われ頷いたけれど、
行かないまま1か月が過ぎていた。
Conte13
週末の代○木体育館。奥田から仙道たちの試合のチケットをもらったから行こうと誘われた。
「今このチームのチケットで、こんないい席なかなか手に入らないってさ。すごいよな、この盛り上がりは仙道くんと藤真くんのおかげだよ」
スタンド席でなく、フロア席。こんなところじゃ、きっと気が付かれる。どうせならひっそり見たかったと思わずにはいられない。
すでに向かいの関係者席にいた牧と目があった。ちょっと知ってる人がいるから挨拶してくるね、と席をたつ。
「久しぶりだな」
「ご無沙汰してます、牧さん。この盛況ぶりはさすがですね」
「仙道のおかげだな。ヤツを……見にきたのか?」
「そんなこと言ったら健司が拗ねちゃいますよ?」
「もうなだめてきたさ」
そこに三井も気が付いてやってきた。牧と同じことを聞くから、笑って否定する。否定するけれど……きっと自分は仙道を目で追ってしまうんだろうということはわかっていた。
そして、そんな3人がフロアで立ったまま会話をしていたら自然と目立つ。アップに入った藤真が仙道をつついた。
「ほら、あそこ」
玲とバッチリ目があった。控え目な笑顔を向けられる。仙道もにこやかな笑みを返した。そのまま玲を目で追っていると、奥田の隣に座るのが見て取れた。
(こりゃ、負けられねーな)
奥田も戻ってきた玲に優しい笑みを浮かべた。
「牧くんは知ってるけど、もう一人もバスケやってそうだな」
「三井さん? そうそう、皆、高校が神奈川だから健司を通して知り合いで……」
だんだん声が小さくなる。それだと仙道のことも知っていたといわんばかりになってしまう。
ちょうどその時、仙道がサービスでダンクを披露し、その歓声に奥田の意識はそらされた。