あれから5年後
□conte 14
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試合終了のブザーが鳴り響いたとき、
仙道がこちらを見たような気がした。
Conte14
5年ぶりに仙道の試合を直に見た。画面越しならカメラが映し出した映像を見ているだけだが、会場での観戦はいかんせん、たったひとりを目で追ってしまう。
ロビーに戻る途中で彦一に出会った。もう試合後の取材もすませたそうで、仙道さんのインタビューは相変わらずのらりくらりかわされると玲にこぼす。
「健司、横に置いておけばいいんじゃない? きっと突っ込んでくれるよ」
「でも玲さんのようにはいかへん。やっぱり仙道さんには玲さんが……」と言いかけて、慌てて口ごもった。
「ふふ、相変わらずだね。そうだ、私、彼を待たせてるの。ごめんね、また」
やんわり彼がいると牽制した。
立ち去る玲の後ろ姿に彦一はそっと呟く── それでもわいは、仙道さんが『芹沢さん』って呼ぶのは似合わへんと思うんや……
ちょうど奥田も気づいてやってきた。彦一のことを同業者? と聞いてきたので、バスケ雑誌の記者だと教える。
「しかも高校の後輩なの」
「……なんて高校だっけ?」
「ん? 陵南高校」
反射的に奥田はぐっと拳を握った。欠けていたピースが頭の中でぴったりと合わさる。やはり仙道と玲は同じ高校……。いくら生徒数が多かったとしても、同学年に仙道がいたら、知らないわけはないだろう。
藤真を通して知り合いどころじゃない。もっと近い距離に2人はいたのだ。
なのに、玲は自分にそのことを話してくれなかった。それはなぜか―――
奥田は自分の憶測に体の芯が冷えていくのを感じた。
「バスケ雑誌ってことは、彼もバスケ部だったとか……?」
「そう、確かに小柄だけど頑張ってたよ。ウチの高校、全国4位だし!」と口にしてから、それは仙道と切り離せない話題だと気づき、それ以上は笑って濁した。
「きっとすごいエースがいたんだろうな……」との奥田の言葉はセリフを読むようだった。