続・5年後

□Une robe du soir 2
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振り向かせると、艶を滲ませた瞳に見上げられ、仙道は大きく息をついた。
ネクタイの結び目を緩ませると、邪魔だと言わんばかりに抜きさり、忌々しげにボタンをはずしにかかる。わずか数個、それすらもじれったい。
下からは玲の手によってはずされ、仙道はワイシャツを脱ぎ捨てた。

奥の部屋は暗く、廊下には玄関からの明かりだけが斜めに差し込んでいる。その明かりが仙道の胸板により陰影をつくりだし、玲はとにかく抱かれたいと思った。シャワーを浴びたいと思ったことなど、もはやどうでもよくなった。


ソファーでそのまま抱き合った。
玲の身体からはパーティの時にもほのかに感じた香水の香りがたちのぼってくる。それは重なる仙道の身体にもうつり、ふたりの汗がよりその匂いを濃厚にしていた。

その妖しい香りが玲を大胆にさせる……


「…玲いつもと違う……」
「彰…こそ……」
「藤真さんに挑発されたから……な」

と言うと、仙道はさらにきつく玲を抱きしめた。自分の想いを伝えるように。

「それに、この背中にも……」

「…彰だって、あの女優さんと…ん…嬉しそうに……」
「社交辞令だよ……でも、結果がこれなら……悪くねえ」


両手で腰を掴み、後ろからゆっくりと押し入り緩やかに腰を動かし始めた。パーティ用のおおぶりのピアスが、乱れた髪の間で自分の動きに合わせて揺れているのが見える。

もっと揺らしたい。もっと狂わせたい―――

だんだん動きが激しくなる。


ソファーの背にすがりつくようについていた玲の手はそれに耐えきれず、崩れ落ちた。そのまま追い詰められ、ああ、ダメ……と思うといちどさし抜かれ、向きを変えられ擦り付けられる。

早く……と思う自分は同じく挑発されているのだろうか。仙道の首に腕を絡め、自らねだった。


カーテンの開いたままの暗い部屋。
仙道の肩越しに遠くの街明かりが星のように見え、目を閉じるとその残像が線を描いた。
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