続・5年後
□Un cours
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スポンサー企業の提供で、小学生を対象としたバスケットボール教室が開かれ、チームからコーチを含めて5人ほど出席した。
今回の優勝の立役者であった仙道はもれなく引っ張り出される。そのため、もちろん参加者は応募多数のため抽選となり、参加者ひとりにつき保護者の見学は2人までと決められ、その他見学者は整理券を配られることになった。
ここ最近のバスケ人気を裏付けるように、会場にはバスケファンの他に若い女性の姿も多い。
ヘッドコーチの基本フォームの指導から始まり、その手本を各選手がみせた。
ドリブル、パス、シュート。あらゆるショットを披露し、ゴールに吸い込まれるたびに歓声が起きる。なかでもダンクはミニバスのゴールの高さだと、仙道は背伸びをするようにヒョイと入れてしまった。
子供たちからは純粋におおっと声があがり、ギャラリーにはそのあまりのあっけなさに笑いが広がった。
この間は生まれたての赤ちゃんに癒され、今日はその10年後ぐらいの子供たち。ミニゲームの際には、大人相手にも賢明に向かってくる子供たちの姿を微笑ましく思った。
閉会式では質問タイムが設けられ、「どうやったらそんなに大きくなれるんですか?」
「どうしたら上手にパスやシュートが出来るようになるんですか?」といった素朴な質問から、「仙道選手は恋人はいるんですか?」というものまでなされた。
「恋人はいるよ。バスケットボール。だから練習しないと振られちゃうし、逃げられちゃう。でも好きだから頑張れるんだ。わかるだろ?」
他の選手は本当のことを知っているので、うまく逃げたなとニヤニヤしている。ここに藤真がいなくて良かったと仙道は思った。
そのままサイン会にはいる。仙道の前には長蛇の列。ボールやTシャツにサインしながらひとりひとりに声をかける。そしてさきほど恋人はいるかと質問してきた女の子の番になった。仙道はにこっと笑った。
「バスケも好きだけど、同じくらい大切な恋人もいるよ。そのお姉さん、君みたいに頑張ってる。だからオレも頑張らないとね。ありがとう」
その子は理解したのかはわからないが、ぱあっと笑顔を見せた。仙道が真摯に答えてくれたのが嬉しかったのだろう。
そんな話をしたせいか、玲に会いたくなった。すべて終わってから電話をすると、今から取材相手と会食だという。
「男? ふたりっきりとかじゃねーよな」
「もちろん、後でまた電話するね」
ちょっと心配だけど、仕事の一環。そうだお姉さんも頑張ってると言ったばかりじゃないか。
帰ろうとすると、今日一緒だった仲間に飲みにいこうと誘われたので、そちらに行くことにした。