続・5年後

□Reunion 1
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「陵南6番の越野だろ? いるって聞いて懐かしくてさ」

よく言うよ、植草と区別つかなかったくせに……と仙道は心の中でつぶやく。
しかしながら越野が藤真をガードとしてずっと尊敬し、目標としてきたことを知っているので、ご対面を演出するのもいいかと思った。
だから実は「藤真さんもちょっと来ませんか?」と仙道から声かけていた。だがこれは玲には内緒。


約1名、毛並の違うメンツを交えつつ乾杯をすると、そのよそ者が「こいつらずいぶん
世話焼かせたよなあ」と仙道と玲を指さした。

「昔っからですけど、藤真さんも仙道に振り回されたんすか?」

振り回されるというより、仙道のペースに巻き込まれると言った方が正しいかもしれない。別に仙道は助けや協力を求めたりしないが、図らずも自分が一役買っているときがある。

「ああ、かなりな。同じチームになってから……だからチーム陵南、わかるよな?」

小夜子たちもうんうんと頷いている。わかるよな?で話が片付くことが玲は不服だ。

「しかも優勝したら迎えに行くとか言うからよ、しないわけにいかなくなったし?」
「バラさないでくださいよ」
「でもそれで実現させちゃうからスゲーすよ」

そこから藤真と越野はバスケの話で盛り上がった。だが途中で藤真にはどうぞと料理が取り分けられたり、「何飲みますか?」と気遣いが入ることが越野は気にいらない。

「何だよ、おまえら。さっきはオレのことなんかほったらかしだったくせに」
「そんなことないよ〜、コッシーは何にする? あ、仙道は?」
「ん、オレ? オレはビールでいいよ」
「玲、仙道、ビールだって」
「ええっ、私!?」

仙道はチラッと玲を見た。目が合い、「何?」という顔をされたので、何でもないよという意味をこめて少し口の端をあげる。
再びメニューに視線を落とした彼女だが、ふいにその呟くような小さな声が耳に届く。

「コッシー、喜んでくれて良かったね」
「ん?」
「健司」

バレてるかと思いつつ、何のことだかわからないという風にグラスの残りを飲み干した。
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