続・5年後

□Imprevu 1
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練習後に、仙道と藤真は事務所に呼ばれた。

「おまえ、何かしでかしたか?」
「してませんよ」
「玲とのことがスクープされたとか? じゃなきゃ、俺も一緒に呼ばれることの説明つかねーし」
「それなりに気を遣ってますって」

おまえのそれなりは当てにならねえと、魂も一緒に抜けていきそうな深い溜息をつき、藤真は事務所の応接室のドアをノックした。

中には事務所サイドの人間が2人と、牧と、もうひとり。こちらの反応を面白がるような笑みを浮かべているのは、奥田だった。

その空気を察し、「あれ、奥田さんとも知り合いか?」と聞いたのは事務所のマネージャー。
「はあ、ちょっと」と藤真が答えると、牧が驚いていた。


どうやら藤真の予想は外れたらしい。
ではなぜ呼ばれたのかといえば、アジア各国代表を招いての大きなスポーツイベントを行うことが決まっており、そのバスケ部門で日本代表とフィリピン代表が交流試合をする。その日本代表メンバーとしてお願いしたいという話であった。

イベントを取り仕切るは、奥田の広告代理店。
それをサポートするのが牧のコンサルティング会社。そういうタッグか、と藤真と仙道は納得した。

フィリピンといえば、そのプロリーグはアジアで最も古い歴史を誇る。アジア選手権でも何度か優勝した過去を持つ。
だが、こちらも負けるわけにはいかない。やっとプロリーグを統合し、NBAから仙道を引っ張ってきた。今のこの盛り上がりをそのまま今後につなげるためにも。


「牧が言うならしょうがねーな。おまえも奥田さんを前に断れねーだろ?」

仙道は肯定の意を苦笑いで返した。

「そうなると思ってたよ」と奥田は笑ったが、牧はまったく意味が分からなかった。
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