続・5年後

□Imprevu 4
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移動中に玲から電話がかかってきた。

彼のケガはたいしたことはなかった。けれど、やはり自分の代わりにスポーツ選手が負傷したことに気持ちは浮かないようだ。たとえ彼の身から出たサビであっても。

「今から帰るのか?」
「お詫びにどうしてもって言うから、食事だけ付き合って帰る。あちらのマネージャーもいるから」
「わかった。オレも切り上げたら、玲のとこに行くよ」
「うん。待ってる」


気を揉ませている分、藤真にも事の次第を報告した。

「そいつ、つけこんでんじゃねーの? まったく玲もバカだな」

玲からの連絡と「もうこれで仕事以外で会うこともないから」という言葉に安心してしまった自分もバカだった。いいから帰れと言えばよかった。

そうすれば、玲とケントが写真に撮られることなんてなかったのに──





まだ早い時間だが、夜が気味の悪いほど静まり返っている。仙道がマンションの下で玲の部屋を見上げると、明かりがついていた。玄関が開かれるとともに、玲が「ごめん」と抱きついてくる。

「玲が謝ることないだろ?」
「うん……」
「それにしても、振り回されたな」

ほんと、まいった、という玲にキスをした。あの時からずっと玲に触れるタイミングを逃していた。試合後のあの時。

周りの目もある。無茶なことをするつもりはなかった。あの男の近くにいることを心配していただけだ。だからといってそれなりの嫉妬をしていないはずもないのだが。

そしてその心配は現実のものとなってしまい、あやうく玲がケガをするところだった。

だが、ホッとしたのもつかの間、水面下ではまだ事態は収拾しきれていなかった。
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