続・5年後

□Imprevu 7
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シーズン開幕戦、ホームでの試合。
控室にやってきた監督が、「今日はやたらマスコミが多いぞ?」と仙道を見ながらからかうように言った。

「だが注目されているということは、無様な姿は見せられないということだ。わかってるな? 特に仙道! これで負けたら立場は厳しくなるぞ? おまえも、彼女も」
「プレッシャーかけないでくださいよ」
「おまえには少しくらい圧力がかかったほうがいいんだ」

そんなたいして感じてないくせに、と1年以上の付き合いになる監督は小さく溜息をついた。少々のムラッ気はあるものの、ここぞという局面でゲームを任せられる仙道ほどの選手は他にいない。しかも逆境に強く、集中力を高めつつも楽しんでしまうタイプ。
今回はどんなパフォーマンスをみせてくれるのだろうと期待までしてしまう。


「玲、来るんだってな」
「藤真さんは何でも知ってますね」
「あいつが電話よこしたんだ! 本当に行ってもいいのかって、な」
「ん〜、オレ、やっぱり信用されてねえのかな?」

今さら何言ってんだと藤真は思ったが、仙道はまだ頭をひねっている。

「呼んだからには、なおさら覚悟しろよ?」

覚悟の行き着く先は勝利。その藤真の言葉に仙道も頷き、片手で反対側の肩を押さえながら首を回した。藤真も皮肉っぽい笑みを浮かべながらも、どこかに真剣なものがあった。




一方、玲は開始ギリギリに牧とともに会場入りした。玲だって、隠すことや後ろめたく感じることは何もない。だが仙道ほど飄々とは構えられない……

すぐに気が付かれ、カメラを向けられるも、フラッシュを焚かないでくださいと注意のアナウンスが入り、じきに収まった。
有名人になった気分だなと牧に笑いかけられ、その何とも言い難い気分に玲は苦笑した。
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