続・5年後

□Viande grillee 1
1ページ/2ページ


外に出ると、街灯やネオンが灯って、街は夜の顔をのぞかせていた。練習場の近くだからと仙道に連絡すると、何やら背後が騒がしい。彦一の、週刊バスケットボールの取材だったというが。

「仙道、行くぞ?」と言う藤真の声が聞こえる。
「なに? 玲か?」「ええ、まあ」
「あら、呼びなさいよ。呼べばいいやないの。私も会いたいわ」
しっかりとよく響く女性の声がそう言った。

「玲、聞こえた? これから焼肉行くんだけど、玲も来いって。〇〇町の交差点のところのさ……」

遠慮する暇もなく押し切られた。
さっきの女性が誰だかすぐわかった。彦一のお姉さんに違いない。副編集長直々の取材だったようだ。


以前に何度かお会いしたことがある。IH行きを逃した夏、仙道の釣りに付き合っていたところ、湘北で壮行試合を翔陽とやるからと呼びに来てくれた時が最初。
その後、自分がライターの仕事をするようになってから、その手のイベントや出版記念パーティ等で。

聞くところによると仙道のことがお気に入りらしい。先日、自分が彼の恋人だと公けになった今、いいのだろうか。何だか顔を合わせづらい。
今さら行けないとも言えないし、とにかく急いで指定場所に向かった。



店に入ると、さまざまなマッコリが陳列されているのが目に入る。韓国出身の経営者の店らしい。「玲さ〜ん」と彦一が気づいてくれた。

「突然お邪魔しまして……」
「いややわ〜、そんな構えんといて。ビールでいい? ほら、彦一、ビール追加や」
勢いに押され、促された仙道の隣に座った。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ