続・5年後

□Viande grillee 2
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多種にわたるホルモンが続々と消費され、焼き網の上にはニンニクがごま油漬けで乗せられる。これが一段落したら、冷麺やクッパといきたいところ。
だが、藤真と仙道はこれで止めておくという。最後の締めまでいったら、カロリーオーバーになるからだ。

玲が席を外すと、「どんなプロポーズされたんですか?」と仙道が弥生に話しかけた。
「なんだよ、おまえ、珍しいな。興味あんの?」
「そりゃ、ありますよ。弥生さんを落とすなんて」
「参考にしよーとしてんじゃねえの?」

仙道はハハッと笑って、彦一も知りてえよな? と話しを逸らした。

「何の参考にもならへんよ。普通に『結婚しよう』って言われただけや」
「え!? あの姉ちゃんの彼氏がそう言わはったんか?」

口数少なく、温厚で物柔らかな人物らしい。いつも弥生の勢いに押されがちとか。
「めっちゃ緊張してるのが伝わってきてな。なんや、それが……どうにも…」と珍しく言葉に詰まる弥生に彦一はさらに唖然としていた。


「弥生さん、かわいいな」
「藤真くん、それもう一回言ってくれへん?」

アホ、姉ちゃん、社交辞令や!とツッコまれても弥生は楽しそうだ。

「なあ、仙道くんは考えておらんの?」
「何をですか?」
「また、そうやって〜。でも私はごまかされへんよ?」

仙道の甘い笑みに流されかけるが、そこはかなりアルコールが入っていようと副編集長の踏ん張りどころ。女性誌ではなく、れっきとしたスポーツ誌であるのだが……その点は個人的興味も作用しているらしい。

「オレはいつも考えてますよ?」

相変わらず本気とも冗談ともつかぬことを言う。けれど戯れではない。弥生はニッコリ微笑んだ。
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