続・5年後
□Teuf 1
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神が出張で東京に来るというので、久しぶりに皆で集まった。
最終で帰る予定が、藤真の一声で、翌朝イチに変更させられる。しかも、新幹線なら品〇の仙道の家がちょうどいいじゃねーかと言い出す始末。
「学生時代を思い出して、朝まで宅飲みしようぜ」
「おいおい、オレたちもか? オレは明日、仕事があるんだが」
そういう真っ当な言いわけは、藤真には通用しない。
「ジジくせえこと言うなよ。仮眠とりゃいけるだろ?」
タクシー2台に分乗して移動する道中、「相変わらずだね、藤真さん」と神がボソリと仙道に言った。
神は大学時代の大半を藤真と過ごし、彼の愛ある強引さには免疫がある。ゆえに懐かしくもある。
自分に少しばかり厳しい負荷をかけてしまいがちな神のようなタイプには、藤真のともすれば独善で物申すようでいて、実は整然たる根拠があり、系統的である押しの強さに引っ張られることはむしろ心地よかった。
仕方ないなと、あえて流されることで、結果的にその荷を緩めることができた。そうでなければ、どこかで押しつぶされてしまっていたに違いない。
牧の後輩として、そしてその後を引き継ぎキャプテンを務めた海南時代。
さらに藤真の元にいた3年間は、自分の人生に多大な影響をもたらし、それによって自己を確立したからこそ今があると思う。
タクシーを降りると、三井が上を見上げて、口をあんぐり開けていた。
「おまえ、ここ住んでんの?」
「賃貸ですけどね」
「月いくらか言うなよ? ぜってームカつくから」
玄関を開けると、さっそくどんどんあがっていってしまった。一番最後になったのは仙道で、ふと気づく。玲が来ているらしい。彼女の靴があった。
だが、リビングにもいなければ、勝手に部屋を物色していく三井の様子からして、寝室にもいない。
とすれば、これはバスルームだ。取るものも取り敢えず三井を追いかければ、ちょうど洗面室の戸を開けているところ──