続・5年後
□Sur le lit
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「あ、れ……?」
目覚めたら、ここは仙道の家。ベッドの上。案の定、服を着ていない。絡みつく仙道の腕をはずし、半身を起こすと、床に服や下着がこれでもかと散らばっていた。
昨夜は飲みに行って楽しくて、けっこう量をいっちゃったかな、との自覚はある。そして気分よく酔ったら、仙道に会いたくなって、タクシーに乗って彼の家を告げた。そこまでは良いが、その後がよく思い出せない。
「ん…玲……?」
仙道は何度も瞬きしながら、大きく伸びをした。その広すぎるほどの胸に空気が取り込まれ、またゆっくりと吐き出される。
それに合わせて上下する横隔膜の動きをぼんやりと見つめていたが、ハッと我にかえり、玲は枕を抱き寄せた。
やっと焦点があった仙道が「おはよ」と気だるそうに言い、上目遣いに視線をよこした。
「覚えてないんだろ?」
「ハイ…あまり……」
それは問題だなあと大げさに仙道はため息をついた。
「来るなり抱きついて、オレの服脱がしたのも?」
「私が!?」
「自分からオレの上に乗っかってきたのも忘れた?」
「はあ!? な……にそれ」
恥ずかしくて耳も塞ぎたくなるような内容を並べ立てるから、玲は抱えていた枕に顔を埋めた。
本当はそんなのウソだとばかりに枕を投げつけてやりたいが、おそらく仙道の言うことは事実だ。誇張されている部分はおおいにありそうだが。
「すげぇ可愛かったんだけどなあ」と楽しそうにゆるめられた瞳を見ると、何も言えなくなってしまう。