三井長編 続編・番外編

□Un cadeau de Noël
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12月23日 この日から東京体育館でウィンターカップが開催される。
クリスマスそっちのけで三井と観戦した帰り道。さすがに少しはそれらしい雰囲気を味わおうと、表参道のイルミネーションを見に寄ったが、大変な混雑ぶりで「すごいね」と言っているうちにエンドの交差点についてしまった。
「渋谷まで歩いちまおうぜ」との三井の提案に、ゆっくり歩きだすが、しばらく行くと何かを思いついた彼に腕をひかれた。

「入っていいの?」
「門あいてっからいいだろ。ちょっとだけ」

藤真の母校で何度か試合で来たというその大学はキリスト教系なので、礼拝堂がありクリスマスツリーがきれいに飾りつけられていた。休日のせいか、人も少ない。
さきほどの華やかさとは比べものにならないが、むしろこじんまりと厳かなムードを醸し出している。
紫帆はこっちの方がいいと背を軽く三井にもたれさせながら見上げていると―――
顔の前に上から小さな箱を差し出された。

リボンの掛けられたそれを開けると、スワロフスキーのネックレスだった。ちょっと寒いの我慢しろと首元のマフラーを解かれ、三井が腕をまわしつけてくれる。かすかに触れる指先は冷たい。
紫帆はその手をとり、温めるようギュッと握り、「ありがとう」と添えた。


そして今―― 三井の部屋に着いた。
コートを脱ぐと、オフショルダーのニットの襟からのぞくのは、三井からのプレゼント。カーテンを閉めに窓辺によると、ガラスに映し出され、紫帆はそれにそっと手をあてた。

後ろに大きな影が広がったと思うと、伸びてきた腕に抱きしめられた。少し冷たいくらいの唇が髪をかきわけ、首元に侵入してくる。くすぐったい。
紫帆は肩をすくませた。すると三井は軽くニットを引き、その肩をむき出しにしてキスを降らせていく。

「待って、襟が伸びちゃう……」
「待たねぇ……」
「ダメだってば……」
「じゃあ、脱げよ」「……」

両肩とも押し下げてくるので、「わかったから!」と三井の手を押さえた。正面に向き直り、いちど引き下ろされた襟元を正すと、三井がニタニタと見下ろしているのがわかった。
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