三井長編 続編・番外編

□En confiance 11.5
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4月30日
月末であり仕事は忙しかったが、むしろうまくサバけた。いつもなら、めんどくさいの来ちゃったよと思うような案件も快く引き受ける自分は浮かれているに違いない。


En confiance  11.5

シルクのパジャマは肌触りが良く、軽くて、しなるように滑らかだ。三井もその感触が気に入ったらしい。弄ぶように撫でたり、つまんだり、引っ張ったり。

だが、時折、その手が入り込んできて肌を滑りゆく。潜り込んできたかと思えば、波のように引いていく、その繰り返し。そして、生地の上からでも三井の指は正確に胸の先端を探しあてる。テレビを見ていた紫帆はその手を押し返した。

「ちょっと、やめて」

我ながらズルいと思う。やめてと言われたら、やめたくなくなる。ベッドサイドに背を押し付けられ、たちどころに唇を唇で塞がれた。それは角度を変えつつも、離れる気配はない。


やめてと言われても、やめられない。何と言っても2週間以上会っていなかったのだから、我慢できるはずもない。裾をたくし上げて侵入してきた手は紫帆の胸を包み込み、もう片方でスナップボタンをはずしていく。

隙間に指を差し入れればすんなりと簡単にはずれた。だが、引っかけるようにひとつひとつゆっくりと。するりするりと解かれていくさまを、紫帆はおとなしく受け入れていたというのに。

「おっと……」

脱がそうとする三井の手がピタリと止まった。

「まだ…もったいねぇ……」

紫帆はふふっと笑った。てっきりいつものように焦らしにかかってきたのかと思ったが違う。確かに身に着けてからまだ30分もたっていないだろう。
かと言って、焦らされているといえばそうなのかもしれない。嬉しそうに眺める三井の顔はセクシーで、紫帆は落ちつかない気持ちにさせられる。

それに、Tシャツを脱ぎ捨てた三井の肌と密着できないもどかしさに、いつまで耐えられるだろう。自分から脱ぎ捨ててしまいそうだ。
そのくせ、「脱がせやすい…な」といとも容易く“下”は取り払われる。足元に滑り落ちた。


ベッドに座る三井の上に、誘われるままに膝を立てて乗った。この期に及んでまだ紫帆の肩と腕には薄い布が引っかかっており、動きに合わせて妖しくしなやかに揺れる。

いつの間にか知られてしまった弱点を好きなようにされ、手慣れた様子で導かれれば、少しは焦らしてやりたいのに、そんな余裕もなく三井に身体を委ねた。

言い知れぬ幸福感。紫帆はそっと薄目を開ける。眉を寄せ、心なしか辛そうにも見える三井の顔を見るのが好きだ。彼の男の顔。でもそれは一瞬で、またすぐに目を閉じることになってしまう。閉じざるを得ない。

三井が姿勢を変える。紫帆もうつぶせにされ、奥深くまで侵入され、攻められ、耳元に感じるは彼の熱い吐息。そこに掠れ気味の声が混じる。

「なぁ……1年、たつんだけ…ど……」
「…は…ぁっ……ん……?」
「…………いしてる……」

動きが早まれば身体が騒ぎ出し、肌蹴たシルクまでが紫帆を刺激するようだ。相変わらず片腕にだけ絡まるそれを、三井は剥ぎ取るように取り去った。

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