仙道 前半戦

□conte 29
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IHも終わり、夏休み最後の土日。陵南と湘北の練習試合が陵南高校で行われた。
山王を倒した湘北、あらゆる学校から試合の申込みがあったが、最初の相手は宿敵である陵南。そのため、海南・翔陽のメンバーも試合観戦にきていた。

「あ、前半終わったとこみたい」

玲たちも練習終了後に試合を見ようとギャラリーに駆け込めば、ひときわ異彩を放つ2メートルはあろうかの集団が目に入った。湘北戦とあって観客が多いが、いやでも目立つ。その中心にいた藤真に声をかけ、まわりの長身軍団にペコッとお辞儀をしたその時。

「あーー! 仙道の彼女!」

ギョッとして振り向くと、牧が慌てて清田を制していた。すみませんと神が苦笑いしながら失礼を詫び、藤真が笑いながら紹介してくれた。海南の牧と神と清田、聞いてるだろ?と。そして、3人には「確かに仙道の彼女らしーけどよ」とブツブツ言ってから事実を明かした。

「それよりこいつ、オレの従妹なんだけど」

その思いもよらない発言に、清田はもちろんのこと、牧、神まで思わずはあ!?と大きな声を出した。その叫びは下のフロアにまで聞こえたようで、両校のメンバーも上を見上げてくるではないか。仙道もこちらに気づいたので、玲は軽く手を振った。

「本当か?」

疑いの目を向けてくる牧。「嘘なんて言ってもしょうがないだろ。なあ?」と藤真は玲に同意を求めてきた。

「嘘だろって驚いてたのは健司なんだけど」
「最近知ったんだよ。従妹が仙道の彼女だなんて複雑だよな」
「それはこっちのセリフだよ。まさか知り合いなんて」
「知り合いじゃねえ。敵だ! ついでにこいつらも!」と海南の3人を指して言うので、一同、苦笑い。確かにバスケを通して顔をあわせるだけの関係を何と言っていいのやら。

「だいたいオレも仙道もこいつらも、神奈川最注目選手だぞ」
「自分で言わないでよ」

言い合ってる双方を見て、皆が思う。似てるかもしれない――
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