仙道 前半戦

□conte 29
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テニス部なんですか?と玲のクラブウェアを見て神が聞いた。玲が頷くと、藤真がお前もキャプテンなんだってなあと言う。『キャプテン同士の恋』と海南の3人はひそかに思った。

「しかもこいつもあと一歩で全国っていうプレイヤーなんだぜ」
「誰と比べてんの? 『こいつも』とか『あと一歩』とか余計なお世話。自分もそうなくせに」

藤真にそんなことを言えるのは玲だけかもしれない。翔陽の摩天楼軍団は恐々とした。
「うるせー。とにかく冬はオレたちが全国に行く」と藤真は玲だけでなく、海南勢にも宣言した。


そして試合は陵南の勝利で終わる。

「やはり新チームへの移行の早かった陵南の勝ちか」
「キャプテンの仙道を中心によくまとまってる」
「宮城も全国でずいぶん成長したな」

流川はどうだ、桜木のケガはどうなんだと今日の試合について藤真が牧たちと話をしていると、友達と観戦していた玲がやってきた。

「見にきた甲斐ありました?」

「ああ、陵南はあれからさらに厳しい練習をしてきたみたいだな」と牧が威厳たっぷりに答えた。監督と間違えてしまいそうだ。
「仙道はさらに磨きがかかった。手強いな」と花形が言うと、玲は嬉しそう微笑む。その様子に「やっぱりスゲーかわいいっすね」清田が神に耳打ちした。

不意に手すりに頬杖つきながら見ていた藤真が、玲を見上げて言った。

「仙道、おまえに溺れさせて、バスケどころじゃなくさせてくれよー」
「そんなヒマ、こっちにないよっ」
「何言ってんだよ、これ、仙道だろ?」と、藤真は玲の髪をスッと持ち上げ首筋を指さすと、うっすらとキスマークがのぞいた。

「!!?!?!」

慌てて玲は首に手をあて隠すがもう遅い。何食わぬ顔の藤真以外の皆が赤面していると、挨拶をおえた仙道がギャラリーに上がってきた。そして、その場のおかしな雰囲気を察したらしい。

「あれ、どうしたんですか? あ、玲に手を出さないで下さいね」とニコリとすると、「手を出してるのはお前だろ?」と藤真が言い放った。
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