三井長編

□conte 06
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日曜の朝7時に起こされた。そうだった…学校まで送るんだった……。その瞬間はめんどくさいと思ってしまい、三井のありがたみを切々と感じた。勝手なものだ。

しかも寒い……空気が冷たい。湘北に着き、外にでると息が白くでた。


桜輔が隣に停まった車から降りてきた人に挨拶している。荷物を降ろし後ろのハッチを閉めると、大きな背中が目に入った。短く刈られていても、どうみてもその髪の色は赤を主張している。そして運転席から降りてきた小柄な男と目があった。

頭を下げると、あんた誰? という顔をしながらも、彼も軽く頭を下げる。それに気づき、その大きな男も振り向いた。

「ぬ?」

思わず後ずさってしまう。三井とはまた違う威圧感がある。笑いながら桜輔が「ほら、宮城さんと桜木さん。この間話したろ?」といい、彼らには「姉貴なんすよ」と言った。

「おお、おうのすけのお姉さんでしたか。湘北を全国へ導く男、桜木です!」

わっはっは、と意外に柔和な笑みを見せる。

(『おうのすけ』? オウスケのこと?)


「花道、おねーサン、ヒいてんじゃねーか」
「なに!? ウィンターカップは惜しくも逃したが、夏はこのオレがぜってー全国に連れてってやるっ!」

名前に『桜』の文字が入る男に二言はねえ! そうだよな、おうのすけ! と豪快に笑う姿に紫帆はあっけにとられていた。

不思議な男だ。この風体にして……でもなぜか怖いとは思わない。一瞬で緊張は解けた。そしてその桜木が何も言わずに桜輔の荷物をひょいと持ち、桜輔の速度に合わせゆっくり歩いてくれているのに気付いた。

「ミッチー、今日来ねーんだってな」
「珍しいっすよね」

(『ミッチー』? もしかして三井さんのこと……?)
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