進撃【novel】

□Caramel Tears
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新婚生活は順風満帆なようだった。家は隣同士、よく俺が姉夫婦の家に招待されてご飯を振舞われた。せっかくの新婚なのにここに俺がいて邪険ではないのかと何度も尋ねたが、邪魔なら呼ばねえよ、余計な心配ばっかしてねえで早く食え、と義兄さんに笑い飛ばされた。

正直、姉の手料理を食べるのは気が引けたが、見た目はともかく味は悪くない。義兄さんは姉の料理を口にするたびにうまい、や最高だ、などと幸せそうに賛辞を述べるのだった。
そんな幸せそうな義兄さんの顔を見ると、色んな感情が渦巻いて胸が締め付けられた。きっと滲み出る幸せのあまりなのか、いやこの気持ちはきっと、閉まっておかねばならない方だと何度も自分を呵責した。

ナイフを強めに握り、力を入れて肉を切る。


姉夫婦と食べるハンバーグは、やはりいつも少ししょっぱかった。
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