夢物語【アングライフェン篇】
□本当のココロ
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森は深く人の侵入を拒むかのような場所だった。メルジーネは、そんな不気味なところをひたすら歩き進む。
(おかしいな……確かに人影がこの辺りに見えた気がしたのだが…………!)
メルジーネは、森の中に2つの人影を見つけ、木の影に隠れその顔を見てみる。
(!?)
その二人は、グリードとラスト姉さんだった、二人は真剣な顔をして話している、メルジーネはその会話に耳をすましてみた。
「……それで、賢者の石の材料はハーフの生き血よ」
ラスト姉さんの一言に息を飲むメルジーネ。に対してグリードは表情を変えずに飄々と答える。
「…へー、そうか」
「あら?グリード、あなたが一番欲しがっていた賢者の石の情報よ、もっと喜んでくれてもいいんじゃないのかしら?」
「ま……ここで話すのもあれだ、アジトで話そうぜ」
「……別に構わないわよ」
グリードとラスト姉さんが去った後、メルジーネは森の中の暗闇に向かって走り出した。
あの男を少しでも信じてみようと思った自分が馬鹿だった……やはり、あの男も賢者の石を欲しがっていた!!
あの男が欲しているのは私じゃない……私の血だ……私は何のために今まで生きてきた……水槽の人……に会うために自分は……今までどんな苦労にも耐えてきた……けど…………あいつは……グリードは……そんな……私の気も知らないで…………私は……私は……
真実への混乱とグリードに騙されたかもしれないという怒りと悲しみ、そんな気持ちは滴となり彼女の頬を伝い、空中へ飛び散る。
「はぁ……はぁ…」
メルジーネが辿り着いたのは、水が透きとおるくらい綺麗な緑色をした小さな湖、たしかマルコー先生が石碑を見つけたのも湖だったはずだ。
「どうせなら……」
死んでしまいたい……今まで、生きることへ強い執念を抱いていた、彼に会うために……けど……その執念さえも今は儚く崩れた……だから……
「消えよう……」
誰も賢者の石など求めないように……私は消えるべき存在なんだ
バシャッバシャッバシャッ)
メルジーネは、いつの間にか湖にその身を沈めていっていた、まるで呼ばれるかのように……
彼女の身体が胸の辺りまで沈みかけたとき、彼女の腕を掴んだ者がいた。
ガシィッ)
「!!」