夢物語【アングライフェン篇】
□深紅の瞳に
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今日の任務もいつも通りなはずだった……そう
あの男に出逢わなければ……
大陸暦 20XX年アメストリス国
ここに任務でビルの上からとある建物を視察しているSWATのミルフォースベスト姿の一人の女性がいた。
『でさ〜ジャンがこれまたひどくてさ〜』
彼女は溜め息をつき、通信機越しの相手に話しかける。
「サアラ……今任務中なんだけど……」
そんな彼女に便乗して他の声も聞こえてくる。
『やっぱり、サアラは置いてきたほうが良かったんじゃねぇ?』
『うん、僕もそう思うな……』
『なっ!?エドもアルもひっど〜い!!』
「はぁ……サアラ、今日の私たちの任務は?」
『分かってるわよ、子供誘拐及び麻薬売買をしている組織を取っ捕まえるんでしょ?』
『それにしても、いくら今回人手が足りないとはいえ、小隊を3つしか寄越さないなんて上も上だよな』
『そうだよね…メルは一人で大丈夫なの?』
「大丈夫よ、どうせこっちには闘いも知らない金持ちしかいないもの、だったら私一人でも十分よ」
『メル、殺しちゃ駄目だからね』
「私がそんなヘマすると思う?大丈夫よ、ちょっと痛い目見させてやるだけだから……ん?」
『どうした?』
「サアラ、あなたの方のデータの中に麻薬売買に参加している人物リストがあったはずよね、ちょっと送信してくんない?」
『はい、は〜い』
メルジーネは、右目に機械を取りつけサアラから送られたリストで確認をしてみる。
ピピピピピピピピピピピビー)
「……やっぱり」
照合エラーの文字を見て、メルジーネはもう一度肉眼で確認する、一度見た顔はなかなか忘れない自分だ、麻薬売買に参加している者の中に知らない顔がある。
黒い短髪に丸いサングラスをかけ紅いスーツを纏い、麻薬売買に参加しようともせず隅のほうで煙草を吸っている。
(なんだろ……どこかで会ったことがあるような……!?)
一瞬、男がこちらを見たような気がした、いやこの距離と暗さで見えたら人間ではない、気のせいだとメルジーネは首を振る。
「三隊は地下の子供たちの救出を優先に、たぶんそっちには最新のサイボーグがいるとの情報もある、私はこちらが終わり次第そっちに向かう、油断するなよ!」
『『『了解!!!』』』
「よしっ!突撃!!」