夢物語【アングライフェン篇】
□強欲の檻
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ここは、マルコー氏の自宅前の草原、そこではこの前South区で助けたハーフの女の子とエドとアルが追いかけっこをして遊んでいた。
「本当にいいの?メル」
サアラに訊かれ、メルジーネはサングラス越しに女の子を見つめながら答える。
「うん、いいの……」
あの子に強くなることを教えるとは言ったが、SWATに入れるにはあの子はまだ幼すぎる……だから、マルコー先生のところに預けることにした……娘さんの代わりではないが……マルコー先生ならあの子を可愛がってくれるだろう……自分が育ててもいいが、自分はいつ命を狙われてもおかしくない身、そんな危険な自分の傍に置いておくわけにもいかない。
「ライラおいで」
「!はーい」
とメルジーネに呼ばれた女の子が彼女に駆け寄る。
「私たちはもう行くから、今日からはマルコー先生のところでお世話になるのよ、たまには会いに来るから……大丈夫ね?」
「……うん……」タッギュッ)
とライラが抱きついてきたのでメルジーネは優しく頭を撫でてあげる。
「……マルコー先生、それではお願いします」
「あぁ、わかった、さっライラちゃんおいで」
「うん……メルお姉ちゃん待たね」
「うん……待たね」
とマルコー先生の家に向かう二人を見送るメルジーネにランファンが声をかける。
「メル、ちょっと話があル、いいカ?」
「わかった」
サアラたちに待ってもらい、メルジーネは少し離れた場所でランファンの話を聞く。
「なんかあったのか……?」
「マルコー先生がこの前話していたハーフの血が賢者の石の材料になることについてなのだガ……」
「!……大丈夫だ、気にしないで続けてくれ……」
「1週間くらい前にハーフ数名が顔を黒いマスクで覆ったやつらに連れて行かれるのを目撃し、追跡してみたらやつらハーフを船に乗せて海に出ていっタ」
「!?……もしかしたら、材料にするために連れて行かれたと…?」
「あァ、その可能性があル、海の上は国境や国の所有権が今は存在しなイ……」
「……研究所を作るにはうってつけってわけか……海上は我々SWATの行動範囲外だからな、人さらいして連れて行かれれば、手出し出来ない……あんまり考えたくないが有り得るな……わかった…ランファン、あなたは引き続きマルコー先生の護衛にあたってくれ」
「!……研究所はどうすル?」
「私が直接調べに行ってくる、頭数が少ないほうが奴らに見つかりにくいと思うからな、一人で行く」
「……大丈夫なのカ?」
「それは分からないが今はハーフの実験をしている研究所を見つけ出さないと……サアラ!!」
「!なに?」
「1週間くらい休暇を取りたいんだけどいいかな?」
「……別にいいけど…どうしたの?」
「ちょっと調べたいことが出来たから……今からブラッドレイ長官のところへ行ってくる」
と立ち去るメルジーネの後ろ姿を心配そうに見るサアラ、ランファン、エド、アルだった。