蒼生の錬金術師
□ホムンクルス
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「グラトニ−……」
「におうよ、におうよ、この前食べそこねたイシュヴァール人のにおい……!!」
「!なんだこの気配ハ!感じたかランファン……!」
「はイ!」
「よしッ!行くゾ!花燐はここで待っててくレ、ヤバくなったら助っ人よろしク!」
「におうよ〜におうよ〜」
と屋上を走っているグラトニ−の顔面にランファンが蹴りを喰らわせた。
「はーい、こんにちハ−、中に何人いるのかナ?」
「逃げようとしても無駄ダ、貴様独特の気……どこまでも追えるゾ!」
「てき?てき?食べていい?」
と口を開けた奴の舌にはウロボロスの入れ墨があった。
((やはり……ホムンクルス!))
「ほぉ、グラトニ−の中がわかるのかね、邪魔な能力だ、排除する……!」
「!?ランファン逃げろ!」
キング・ブラッドレイは目にも止まらぬ早さで壁をかけあがり、ランファンに斬りかかった。
「!?きゃあっ!!」
「ランファン!!!」
「ふむ、クナイでわずかに斬撃を逸らしたか……」
「たべていい?」
「手早くな」
「わーい?」
その瞬間リンがグラトニ−の頭をぶったぎり、ランファンに駆け寄る。
「ランファン!しっかりしろ!逃げるぞ!!」
「この私の眼から逃げられると思っているのかね?」
ランファンをかかえ、リンはキング・ブラッドレイと激しい闘いを始めた。
「ほぉ、闘い慣れてるな……常に私の死角……左目がわにまわりこむか……ならば、グラトニ−!」
「はーい!」
とグラトニ−がリンを殴り飛ばし、リンは隣のビルまで吹っ飛んだ。
(!?ランファンが!……しかしこの状況で出ていくのは……キング・ブラッドレイが何故ホムンクルスといるの?……!あんな建物、人目につかない!ヤバイッ!!?)
と花燐が助けに行こうとした瞬間建物がまぶしく光った。
(閃光弾……!?だけど……リンが出てこない!……どうすれば……)
−リン!聞こえてる!?生きているの!?−
(あぁ、聞こえてるヨ…てかキング・ブラッドレイ……こいつは相当やばいナ……)
−私がやつらを足止めしているから、早くあなたはランファンを安全なところへ!−
(!?そんな危ない真似させるわケ……)
−いいから!そのままじゃ、ランファンの命が危ない!早くそこから脱出して!臣下が死にかけてるのよ!皇帝になる男だったらなんとかしなさいよ!!−
(!!わかっタ、死ぬなヨ!)
−言われずとも!!−