夢物語【アングライフェン篇】
□本当のココロ
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ここは、デビルズネスト、メルジーネは身体に怠さと痛みを感じゆっくりとその身を起こした。
「っ痛……」
自分は…そうか、あのグリードという男に抱かれて気絶したのか……初めて男に抱かれた…… 何も抵抗出来なかった自分に苛立ちを感じる。
「!…………」
気づくとメルジーネはしっかり服を着ていたし、その両手首は拘束具の代わりに包帯が巻いてあった。
「……わからない……」
あの男はなんなんだ……拘束して無理矢理抱いたかと思えば……この包帯はなんなんだ……なんて思いながらメルジーネはベットから降り、机に近寄るとメモが置いてあった。
〈仕事に行ってくる、何かあったら俺の部下に言え グリード〉
あの男は私が逃げるかもしれないとかは考えないのかとメルジーネが紙を見ていると部屋の扉が開き、一人の短髪の男が入ってくる。
『あ、おはよう、具合はどうだ?』
メルジーネが彼の一言に驚いた顔をしていると彼は慌てた。
「!悪りぃ、俺両親がシン国の人間だからたまにこうやって出ちまって……」
「いや……別にいい、おまえシンの字は書けるか?」
「お…おう?書けるぜ」
「それじゃ、ここにおまえの名前を書いてくれないか」
「?…わかった」
カリカリカリカリ)「ほらよ」
メルジーネは、その紙を受けとりさらに顔をしかめたが次の瞬間は、ふつうの顔に戻り彼の顔を見て言った。
「ドルチェット……だな?」
「お…おぅよくわかったな、おまえシン国の人間か?」
「父親がシン国の人間だ……しかし、まさか……」
「どうした?」
「……なんでもない、ドルチェット、1つ頼みがあるのだが……このアジトを案内してもらってもいいか?」
「!別にいいぜ、どっちにしろグリードさんに案内しろって言われていたしな、えーと……」
「メルジーネ・リュトムスだ」
「メルジーネか……それじゃ、メルでいいな、よろしくなメル!」
とドルチェットが差し出してきた手をおそるおそる握り返し微妙な顔でメルジーネは答えた。
「あ…あぁ、よろしく……」