蒼生の錬金術師【シンの東壁篇】

□赤獅子盗賊団
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バカラッバカラッバカラッポツ)
「!煉大尉、雨ガ……」











「わかっている!急ぐぞ!!」










「はッ!」










一同が村に着いた時には、村は焼けただれ焼死体があちこちに散乱していた。
「こりゃひでェ……やつら何もかもかっさらっていきやがっタ!」














(源じい……やっと病気が治りかけていたのに…李……錬丹術師になりたいって言っていたのに……)













どしゃ降りの雨に打たれながら村を見ていた花燐の足元でなにかがキラッと光り、気づいた彼女はそれを拾った。
(!これは…私が李にプレゼントした仕込みナイフ……)ギリッ)














歯を食いしばった彼女のもとに濡れながら厳慈郎中令が走ってくる。
「大尉!!……」













「……生存者は?」










「いませン、焼死体がいくつかあるだけでス……」












「そうか、お前ら少し離れてろ…この村を錬丹術で埋める……」












「はッ!!」













兵士が下がるのを確認した花燐は両手をあわせ地面につけるとそこに一つの小さな山が錬成された。
パンッバンッバチバチィゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴドォォン)












また両手をあわせた花燐はその手を空にかざした、すると空は晴れ虹がかかった。
パンッバッザザザァァサァァア)












「おォ、雨が止んダ…虹ダ……」











「一旦、近くの村まで退避するぞ!厳慈…後でこの墓にこの村人の名を刻んだ墓石を置いてやってくれ……」バサッ)













「……了解しましタ」















近くの村まで退避した一同は、民家を借りて地図を囲って作戦会議を始めた。
「さて……皆いるな、赤獅子盗賊団は、先日視察に行った兵の情報によるとここから南方1q先にある〈千山峠〉に拠点を置いてるらしい、そこでだ、まず私が旅人を装って奴らから情報を引き出そうと思う」













そんな彼女の発言に驚いた兵が否定の声をあげる。
「!?そんナ!大尉自らそんな危険なことをする必要ありませン!!」













「そうでス!俺が代わりに行きまス!!」











「敵もわざわざ軍のリーダーが来るとは思うまい……それにこの中で錬丹術を使えるのは私だけだ、分かってくれ」












「……はイ」











「お前たちは私の合図があるまで岩陰で待機していろ、まだ敵の戦力が分からない状況だからな……だが敵が倒せる相手と判断した場合、指笛を鳴らす……しかし、カオスによって操られている可能性もある、その時お前たちは手出しするなよ」











「はッ!!」











「よし!あくまで今回は敵の反抗心を衰弱させることが目的だ、皇帝陛下からなるべくは殺生は避けよとの命がある、敵に恐怖心を植えつけてやれ!!二度々、このシンで悪さを起こそうという気が失せるくらいにな!頭領は、都に連れて帰り、裁判にかけるつもりだ、いいか、殺すんじゃないぞ!出来るな!!」












「おうッ!!!」










「では、それぞれ闘いの準備をしろ」
ガチャガチャカチャッキィィン)













花燐は別室で厳慈にサラシを巻くのを手伝ってもらっていた。
「大尉……大丈夫ですカ?」











「あぁ……別に敵討ちとか考えてないぞ、そんなことをしても彼らが悲しむと思うからな……厳慈、お前が私の小太刀と銃を預かっていてくれ」カチャ)













「……あんまり、無理せんでくださいヨ、それにアレは絶対に使わないって約束してくださイ、アレは大尉の命に関わりまス」












「あぁ、わかってる……アレを普通の人間に使ったら全員殺してしまうからな……まっ、ヤバくなってもお前たちがいるから大丈夫だろ?
ニカッ)」












「……全く、本当に困ったお方ですヨ」
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