Book3 t2

□片時雨 雨宿り
2ページ/5ページ


テヨン「いや、別に…」


シカ「さっきはいかにも悩んでる風にベッド転がり回ってたけど?」


テヨン「まぁ〜仕事のことだよ
ちょっとね…」


シカ「そう…」




ベッドに寝転がって天井を見ながらそう答えると、
ジェシカは私に興味を無くしたようにまた雑誌に集中し始めた

でも、またしばらくすると、
「最近… 何かあったの?」
今度は雑誌から顔を上げて私に尋ねてきた




テヨン「なんで? 特に何もないよ」



ずっと好きだったティファニーに振られたけど、それ以外は本当に何もない




シカ「そう? じゃあなんでこんな顔して泣いたの?」




ジェシカはそう言うと、雑誌を開いて私に見せてきた
それは少し前、ティファニーに振られた日に撮影があった写真だった



あ…
この写真使われたんだ…





あの日、振られた後の撮影だったけれど、気持ちを切り替えて撮影をこなした
だけど、最後に「今の気持ちで」っていうコンセプトの撮影になったとき、
私は気持ちを少し開放した

ジェシカが見せてきた雑誌のページには、叶わない想いに涙する自分が写っていた




テヨン「これは…そういうコンセプトだったから」


シカ「どういう?」


テヨン「え〜っと…」



ここで『そのときの気持ち』なんて言えるはずがない




テヨン「いや、そんなのどうだっていいじゃん

でも、綺麗に撮れてるよね〜
ははっ 我ながら上出来だわ」


シカ「そうね 皆もそう言ってた

でも、あんたってそんなことできたっけ?
こういう気持ち、カメラの前で素直に出せる方じゃないでしょ?」


テヨン「出せたからそれがあるんじゃん
私も大人になったのだよ、ジェシカくん」


シカ「出せたんじゃなくて、出しちゃったんじゃないの?
隠せなかったんじゃない?」


テヨン「…」




なぜこうも図星をついてくる…



ギュッと手に力が入り、ぬいぐるみに少し指が食い込む




シカ「なんかこの前の飲み会のときもちょっと様子おかしかったから…」


テヨン「ははっ そうだった?」



そうでした
あなたは興味ない振りしてちゃんと見てる子でしたね…




シカ「なんかパニも様子おかしかったし…
あんた達、何かあったでしょ?」


テヨン「う〜ん…」



さて、これはどうしたもんか…







次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ