Book3 t2

□片時雨 雨雫
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ブラックデー当日
夕方から独り身だけのパーティーが始まった
ユナは仕事で参加が遅くなるみたいだけど、その他のメンバーは少しずつ帰ってきて騒ぎ始めている



ヒョヨン「飲もうよ!明日オフのメンバー多いんだしさ」


ソニ「ヒョヨン、騒ぎすぎちゃダメよ
この前管理人さんに怒られたでしょ」


シカ「あ〜ホワイトデーのときね」


ユリ「管理人さんにばれない程度に騒ごう」


パニ「ホワイトデーのときのダンス大会面白かったわ
ヒョヨンがユナと変なダンスして…」



皆が楽しそうにしている傍で、私はなんだかそのノリについていけない
何よりホワイトデーが楽しかったって言ってるティファニーにまた傷ついている自分がいる


私と過ごせなかったホワイトデーがそんなに楽しかったんだ
私は凄く残念で、代わりにいつかティファニーと二人で過ごしたいと思っていたのに…



傷つきすぎて麻痺していたはずの胸がまたズキズキと痛む
その痛みを誤魔化すように私はお酒をいつもより速いペースで飲んだ




ヒョヨン「よし!じゃあまず簡単なゲームしよ!
じゃんけんで買った人が王様で、王様から指名された人は絶対逆らえないのよ」


テヨン「パシリとか?」


シカ「パシリは嫌よ」


ヒョヨン「王様の言葉は絶対で〜す!
あ、次の王様はその指名された人ね」


パニ「ふふっ はいはい
じゃあ始めましょ」




ゲームはみんな酔ってるから結構めちゃくちゃだった




ユリ「じゃあ、次ソニ!
コンビニでGee踊りながらジュース買ってきて」


ソニ「げぇ〜マジで!?
すぐばれるじゃん」


シカ「ノーメイクだからばれないんじゃない?」


ヒョヨン「ばれたら、『自分、ソニじゃなくてスンギュですから…』って言ってダッシュね」


ユリ「キャハハハハ」


ソニ「おい、お前ら…覚えとけ」


パニ「あはははっ ちゃんとテレビ電話で中継してよ〜」




そんな風にゲラゲラ笑いながら時間はあっという間に過ぎていく







ソニ「じゃあ〜次はテヨン!
今好きな人いるのか正直に答えよ!」



え… 私?





テヨン「えっと…」


ヒョヨン「おっと、これは貴重だ」



私はうつむいて誰とも目を合わせずに答える
だいぶお酒が回っていたから、今なら言えると思った




テヨン「いるよ…」


ユリ「やっぱりいるんじゃん!
そっかそっか」


ソニ「ふふふっ その人とはいい感じ?」


テヨン「ん〜…どうだろうね…」


ヒョヨン「ってことは片想い?」


テヨン「うん、そう
報われない片想い…」




そう言って顔を上げると、ティファニーが小さく驚いた顔をしていた





テヨン「私はその人のことが凄く好きなんだけど…
ははっ やっぱり無理みたい…

私だけが楽しくて、私だけがドキドキして、
私だけが…好きみたい」



私は涙が出そうになりながらも、耐えてティファニーを見つめる



ごめんね、ティファニー
今まで私のわがままにつき合わせてごめん





テヨン「次…、私が王様だよね?」


ヒョヨン「え?うん…」




私は精一杯の笑顔でティファニーを見つめて言った





テヨン「ティファニー

私達…
別れよう」






これがきっと自然なんだよね
私が私達の関係を歪ませてしまっただけ

今ならそれがわかるから…





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